発生状況
自然毒を原因とする食中毒は、国内で毎年発生しています。その年によって発生件数は変動しますが平均で100件程度の自然毒食中毒が発生しています。毎年、有毒成分を含む生物や植物を誤って食べ重症化する方もおりません。直近でも毎年数名の方が自然毒食中毒によってお亡くなりになっています。
自然毒食中毒の種類(生物・植物・カビ)
自然毒は、植物性自然毒、動物性自然毒、かび性自然毒の3つに分類することができます。日本では事件数、患者数は植物性自然毒によるもの多く、致命率は動物性自然毒のほうが高い傾向です。尚、キノコは植物ではないですが食中毒統計では植物性食中毒として集計されています。
植物性自然毒食中毒(有毒植物)
植物に含まれる有毒成分は、種子や実、若芽が動物や昆虫や鳥類などの餌となることを抑止することが目的と言われています。植物に含まれる有毒成分は、下痢や嘔吐で済むものから大量に摂取すると死亡するものまで様々あります。自然毒食中毒の約9割が毒キノコを誤って食べて発生しています。毒キノコの症状の多くは胃腸型中毒症、コレラ様症状、脳症状の3種があります。また、キノコ以外の自然毒食中毒は、にはアルカロイド系の物質を含有する草花によるもので、代表的な物にはトリカブトのアコニチン、ジャガイモのポテトグリコアルカロイド(ソラニン)、青梅のアミグダリンなどがあります。
間違って食べてしまう有毒植物
有毒植物を誤って食べた植物名 | 有毒植物を誤って食べた植物名 | |
スイセン | テンナンショウ類 | |
バイケイソウ類 | ハシリドコロ | |
白インゲン | ひょうたん | |
チョウセンアサガオ類 | グロリオサ | |
ジャガイモ | ジギタリス | |
トリカブト | ドクゼリ | |
クワズイモ | ユウガオ | |
イヌサフラン | カロライナジャスミン | |
ヨウシュヤマゴボウ | キダチタバコ | |
アジサイ | シャクナゲ |
食用植物とよく間違える有毒植物
食用植物 | 有毒植物 | 誤って食べる部位 |
オオバギボウシ、 ギョウジャニンニク |
バイケイソウ類 | 若葉 |
ゴボウ(根)、ゴマ(種) | チョウセンアサガオ | 根、種 |
ヨモギ、モミジガサ | トリカブト | 若葉 |
サトイモ | ワズイモ | 茎、根茎 |
ニラ(葉)、ノビル | スイセン | 葉、鱗茎 |
フキノトウ | ハシリドコロ | 新芽 |
ダイウイキョウ | シキミ | 実 |
セリ(葉)、ワサビ | ドクゼリ | 葉、根茎 |
リアザミ | ヨウシュウヤマゴボウ、ヤマゴボウ | 根 |
動物性自然毒食中毒
魚など動物に含まれる有毒物質の多くは、プランクトン(有毒渦鞭毛藻)類に由来し食物連鎖で徐々に有毒成分が濃縮され毒化します。フグも有毒プランクトンを含まない餌を与えれば、無毒フグとして成長します。フグに含まれるテトロドトキシンによる中毒は致死率が高いことで知られています。動物性自然毒食中毒の発生時期は、フグによる食中毒は冬、麻痺性貝毒や下痢性貝毒による中毒は夏に多いです。
有毒成分 | 有毒生物 |
フグ毒 | フグ類 |
シガテラ毒 | シガテラ毒魚(ドクウツボ、オニカマス、バラハタ、バラフエダイなど) |
パリトキシンおよび関連毒 | アオブダイ、ハコフグなど |
卵巣毒 | ナガズカなど |
胆のう毒 | コイ類 |
血清毒 | ウナギ類 |
ビタミンA | イシナギなど |
異常脂質(トリグリセリド、ワックスエステル) | アブラボウズ、アブラソコムツ、バラムツ |
下痢性貝毒 | |
記憶喪失性貝毒 | |
神経性貝毒 | |
アザスピロ酸 | |
唾液腺毒(テトラミン) | エゾバイ科巻貝(ヒメエゾボラ、エゾボラモドキなど) |
フグ毒 | キンシバイ類などの肉食性巻貝 |
光過敏症 | アワビ類 |
かび性自然毒食中毒
カビの二次代謝産物として産生される毒の総称(マイコトキシン)で、穀類やナッツ類に発生する一部の Aspergillus (アスペルギルス)属によるアフラトキシン、腐った果実に発生するペニシリウム属やアスペルギウス属によるパツリンには発ガン性が、他の菌の生産物には痙攣や内分泌撹乱作用を持つものなどが知られている。一般に熱に対して安定であるとされ、家庭での調理程度の加熱では毒性は失われない。
有毒生物や有毒植物による食中毒の予防方法
自然毒食中毒にならないためには、自分で採取した食材を食べる時には、十分に気を付けることです。毎年、ニラとスイセンを間違えて誤食したり、釣ったフグを自分で調理して食中毒になっています。市場で流通してない(小売店で販売してない)食材を調理する際には、有毒成分が無いか確認をしましょう。
毒キノコの見分け方とウソ
野生キノコを見つけたとき、そのキノコが食べられるのか、毒キノコなのか判断に困ることがあります。古くからキノコの見分け方として多くの迷信があります。これを信じて、もし、毒キノコを食べたら中毒を起こしてしまうことになりますので注意してください。どれも一度は効いたことがあるかと思いますがウソですので注意してください。詳しくは、秋は毒キノコのシーズン誤食に注意を参照してください。
- 柄が縦にさけるものは食べられる
- 地味な色をしたキノコは食べられる
- 虫が食べているキノコは食べられる
- ナスと一緒に料理すれば食べられる
- 干して乾燥すれば食べられる
- 塩漬にし、水洗いすると食べられる
- カサの裏がスポンジ状(イグチ類)のキノコは食べられる
有毒成分が含まれる生物・植物リスト
動植物の中で有毒成分が含まれているものを分類別にまとめました。山菜やキノコ狩り、魚釣りなど自分で食材を採取するかたは確認してください。身近な植物に有毒な成分が含まれていることもありますので注意してください。
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