テドロトトキシン|魚にある有毒成分
テドロトトキシンとは、「トリカブト」など代表的な自然毒の1種であり、フグの内臓に蓄積される有害成分である。テドロトトキシンの化学的な特徴は、アルカリ、強酸溶液中で分解し、熱には安定する。属性的には、植物の有毒成分に多いアルカロイド系の毒素である。これは、テドロドトキシンが海洋細菌のビブリオ属やシュードモナス属の複数の細菌種が一次生産者であることが知られている。これらの細菌が産生した毒素は、生物濃縮により主にフグの体内に蓄積される。テトロドトキシンは、神経、骨格筋の電位依存性Na+チャネルを選択的に阻害することにより、活動電位の発生を抑制し、興奮伝導をおさえることによる。K+チャネルには影響を与えない。フグのNa+チャネルにはテトロドトキシン結合部位が無く、テトロドトキシンは作用しない。簡単に説明すると筋肉が動くことで我々ヒトは作業(動作)することができるが、この時に筋肉に動く指示する為のイオンチャンネルをテドロトトキシンの毒素によって阻害され正常に動かなくなる事で色々な臓器や器官に障害が発生します。テトロドトキシンによる中毒症状の多くは、誤って有毒成分が蓄積された肝などを誤って食べることで発生する。テドロトトキシンは、消化管からの吸収が速いために30分から4時間程度で、唇や舌、指先のしびれ、言語障害、運動失調、知覚麻痺が現れ、麻痺が進行すると呼吸麻痺で死亡する。成人の致死量は1~2mgと推定されている。フグ以外にも両生類のカリフォルニアイモリで存在が示され、のちに、ヒョウモンタコ、ツムギハゼ、ある種のカエル、カニ、巻貝など多数の生物中に発見され、自然界に意外に広く分布することが明らかとなった。
シガテラ|魚にある有毒成分
シガテラとは、熱帯の海洋に生息するプランクトンが産生する毒素に汚染された魚介類を摂取することで発生する食中毒の1つです。日本で中毒原因となる有毒種は、主にフエダイ科フエダイ属のバラフエダイ、イッテンフエダイ、イトヒキフエダイ属のイトヒキフエダイ、ハタ科バラハタ属のバラハタ、マハタ属のアカマダラハタ、スジアラ属のオオアオノメアラ、アズキハタ属のアズキハタ、イシダイ科イシダイ属のイシガキダイ、アジ科ブリ属のヒラマサなどである。 シガテラを引き起こす毒素をシガテラ毒と呼び、シガトキシン、スカリトキシン、マイトトキシン、シガテリンなどが知られ、類縁体を含め 20種以上が確認されている。テドロトトキシン同様にナトリウムチャンネルに特異的に作用し、神経伝達に異常をきたす。「シガテラ」の呼称は、キューバに移住したスペイン人が、この地方で「シガ」(cigua)と呼ばれる巻貝のチャウダーガイ(Cittarium pica)による食中毒の事を "ciguatera" と称したことに由来する。
シガトキシンは熱に対して安定であるため、一般的な調理では毒素を熱分解できず、従ってシガテラ中毒を防ぐことはできない。また、シガトキシンは、魚の味に影響を与えず煮汁にも溶け出すので、誤って調理しても気づかずに食べることで食中毒を引き起こすことが多い。シガテラの中毒患者さんの母乳からシガトキシンが検出することが報告されており、毒素は母乳経由で乳幼児に移行する可能性があることが報告されている。シガトキシンによる中毒症状の発症量は、経口摂取で70 ng程度であり、中毒症状は1-8時間ほどで発症し主症状は、神経症状であるドライアイスセンセーション(温度感覚の異常)、掻痒、四肢の痛みで、筋肉痛、関節痛、頭痛、めまい、脱力、排尿障害などもある。これらの症状は、軽症の場合1週間程度で治まるが、重症な場合では数ヶ月から1年以上継続することがある。また、消化器系症状(下痢、嘔吐、腹痛、悪心等)や循環器系症状(不整脈、血圧低下、徐脈等)も呈することがあるが死亡例は極めて稀である。
有毒成分のある魚貝類の一覧
魚類 | フグ毒 | フグ類 |
シガテラ毒 | シガテラ毒魚(ドクウツボ、オニカマス、バラハタ、バラフエダイなど) | |
パリトキシンおよび関連毒 | アオブダイ、ハコフグなど | |
卵巣毒 | ナガズカなど | |
胆のう毒 | コイ類 | |
血清毒 | ウナギ類 | |
ビタミンA | イシナギなど | |
異常脂質(トリグリセリド、ワックスエステル) | アブラボウズ、アブラソコムツ、バラムツ | |
二枚貝 | 麻痺性貝毒 | |
下痢性貝毒 | ||
記憶喪失性貝毒 | ||
神経性貝毒 | ||
アザスピロ酸 | ||
巻貝 | 唾液腺毒(テトラミン) | エゾバイ科巻貝(ヒメエゾボラ、エゾボラモドキなど) |
フグ毒 | キンシバイ類などの肉食性巻貝 | |
光過敏症 | アワビ類 |
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