自然毒食中毒の分類と種類

自然毒食中毒の分類と種類

自然界に生息している植物や動物には、有毒成分(自然毒)を持つものが数多く知られており、これらを含む食品を誤って摂取することで起きる食中毒を自然毒食中毒といいます。自然毒には、植物性、動物性、かび性などがあります。一般的には常成分ですが、成育のある特定の時期にのみ毒を産生する場合や食物連鎖を通じて餌から毒を蓄積する場合もあります。細菌性食中毒と比べると自然毒による件数や患者数はそれほど多くないが、猛毒なフグ毒や毒キノコのように致命率の高い自然毒もあり食品衛生上きわめて重要であります。尚、キノコは植物ではないですが食中毒統計では自然毒食中毒の中の植物性食中毒として集計されています。

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自然毒食中毒の種類

植物性に含まれる有毒物質は、昆虫や動物に食べられないように自己防衛として有毒成分を生成していると考えられます。特に植物性の自然毒で最も多いのは、毒キノコです。毎年、ハイキングや登山者が山道に自生している毒キノコを誤って採取し、誤って食べる事で自然毒食中毒が発生しています。また、春から夏にかけても有毒成分を含む山菜を誤って食べる事で同様の自然毒食中毒が発生しています。自然毒食中毒は、発生件数が多いですが、症状は比較的軽度な場合が多いです。しかし、フグなど有毒成分を含む魚介類は、主に有毒なプランクトンを捕食、または有毒なプランクトンを捕食した小魚を捕食することで、魚介類の体内に有毒物質が蓄積したものです。フグに含まれる有毒成分テトロドトキシンが非常に有名ですが、これも有毒なプランクトンを食べたことにより体内に蓄積したものです。動物に含まれる自然毒食中毒は、植物性自然毒より発生件数は少ないものの症状が悪化し重症化しやすい傾向がありますので注意してください。

植物による自然毒食中毒

有毒植物を含む自然毒食中毒の多くは、毒キノコによるもので全体の90%以上を占めています。その多くは、キノコの知識が不足している素人が食用キノコだと誤って採取、食べることによって起きます。毎年多くの方が毒キノコによる自然毒食中毒になりニュースになります。各地自体も知らないキノコは食べないで欲しいと注意喚起しています。

毒キノコ類による自然毒食中毒

毒キノコによる食中毒を防ぐには、キノコの専門知識を身に付けることが非常に重要です。特に知らない、自信が無いキノコは、採取しない、人にあげない、食べないことが植物性自然毒食中毒の予防では重要です。また、古くから言われている毒キノコの見分け方も誤った情報もあります。地味な色や虫食いなど毒キノコでもあります。もし、誤って毒キノコを食べますと比較的短時間で下痢や嘔吐の胃腸炎症状や幻覚、聴覚、言語障害などの神経障害があらわれることがあります。もし、見知らぬキノコを食べて下痢や神経症状があった場合には、毒キノコを食べたことによる自然毒食中毒の可能性がありますので早めに病院に行きましょう。その際、残ったキノコ類を病院に持参すると診察や治療方針に非常に役に立つことがあります。

毒キノコ類による自然毒食中毒

草などによる自然毒食中毒

毒キノコ同様に有毒成分が含まれている草や山菜と間違って食べる事で自然毒食中毒が起きる例があります。特に多いのは、ニラと間違え自生しているスイセン食べて下痢や嘔吐などの食中毒症状を起こす事が多いです。スイセンは、庭や公園に自然に自生しています。よく見るとニラとスイセンの違いはわかりますが、素人はニラが自生していると勘違いしてスイセンを採取、食べる事で自然毒食中毒になります。スイセンは,園芸品として色や形の異なる多くの種類がある多年草で,冬から春にかけて白や黄の花を咲かせるものが多く,葉はニラ,ノビルによく似ており,鱗茎はタマネギと間違えやすい。喫食後30分以内に嘔吐,下痢,頭痛などを引き起こします。スイセン以外に有毒成分が含まれている食c物には、トリカブト(ヨモギ、ニリンソウ、シャク)、ドクゼリ (セリ)、ジキタリス (コンフリー)、バイケイソウ ( オオバギボウシ) などがあります。

草などによる自然毒食中毒

それ以外の植物による自然毒食中毒

ジャガイモ中毒とは、ジャガイモの発芽(はつが)した部分には、ソラニンという毒素が含まれていて、食べると数時間で腹痛などの胃腸障害、めまい、眠け、軽い意識障害がおこることがあります。また、腐敗(ふはい)したジャガイモには、セブシンという毒素が生成されて、中毒がおこります。ジャガイモは、新芽と緑色の部分を深くえぐりとり、腐りかかった部分も完全に取り除いて調理しましょう。ソラニンは比較的熱に強いので、ジャガイモは、よく加熱して食べましょう。青梅による中毒は、ギンナンは、青梅には、アミグダリンという青酸化合物が含まれています。銀杏も、季節によっては青酸化合物が含まれていて、酸素によって分解し青酸が生じます。 この青酸は、胃腸や脳に重い障害をおこす猛毒ですが、十分に加熱して食べれば中毒はおこりません。カビ毒は、ペニシリウム属のカビに汚染された黄変米は、肝臓や腎臓を冒すことが知られています。また、ピーナツ、トウモロコシに寄生するアスペルギルス属のカビは、非常に強い発ガン性を示すアフラトキシンを産生します。

魚介類による自然毒食中毒

動物性自然毒による食中毒は、全て魚介類が原因です。ふぐのように常に有毒物質があるものと、二枚貝・巻き貝などのように産地、年次、季節などによって異なるものがあります。しかし、中にはまだ原因の解明されていないものもあります。

魚介類による自然毒食中毒

ふぐ毒による症状と性質

ふぐ毒による食中毒は、動物による食中毒の中でも多く発生し、死亡率が高いのが特徴です。フグの毒はテトロドトキシンという神経毒で、卵巣や肝臓などの内臓にあります。ふぐの種類・部位・季節によって毒力が異なり、特に産卵期(12~6月)に毒性が強くなります。同じ種類でも個体差が大きい。この毒素は、熱に対して比較的安定です。フグ毒を摂取すると食後20分~1時間以内で口唇や舌のしびれを起こし、その後、頭痛、腹痛、吐き気、嘔吐、歩行起立困難、言語障害、呼吸困難などの症状が現れます。

ふぐ毒による症状と性質

貝毒による症状と性質

貝毒とは、海水中の有毒プランクトンを捕食し、その毒を中腸腺に蓄積したカキ・ホタテガイ・イガイなどの二枚貝を食べた時に発生します。麻痺性貝毒と下痢性貝毒があります。 麻痺性貝毒は軽症では食後30分程度で手足のしびれ、目眩、眠気に襲われ、重症の場合は言語障害となり、最後には呼吸麻痺で12時間以内に死亡します。下痢性貝毒は食後1~2時間で下痢、嘔吐、腹痛を起こします。

貝毒による症状と性質

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