食中毒の概要
食品衛生委員会のホームページで説明している食中毒の概要とは、有害物質に汚染された食品を摂ることで起こる健康障害です。多くは、おう吐、腹痛、下痢などの症状を起こします。食中毒は、その原因により細菌性、ウイルス性、自然毒、化学物質によるものに大別されます。従来、日本では発生件数、患者数ともに細菌性食中毒が多く、温度、湿度が高い夏季に多発しますが、最近では冬季のウイルス性食中毒が増えています。食中毒の原因には、食肉、穀類や魚介類に混入したサルモネラ、ウェルシュ菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどが胃腸内で増殖することによる場合と、食品中でブドウ球菌などが作る毒素を摂る事で引き起こされる場合があります。食中毒の予防には、つけない(手指や調理器具はよく洗って清潔にする)、増やさない(食品は長時間外に放置しない、冷蔵保存する)、殺す(食品を十分に加熱する)が有効です。それでも、食中毒が疑われる症状がでた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
食中毒の定義と分類
食中毒の概要は、上記の説明のとおり「食品衛生法第58条」で明確な定義がされています。原因物質も「細菌」「ウイルス」「自然毒(有毒成分を含む動植物)」「化学物質」「寄生虫」の5つに分類され、原因物質についてもノロウイルス、カンピロバクター、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、ウエルッシュ菌など種類が決められています。これらの原因物質による症状は、下痢や嘔吐など胃腸炎症状が主ですが、原因物質によって症状が異なりますので注意が必要です。そのため、食中毒による症状と潜伏期間(原因となった飲食物の摂取から症状が現れるまでの時間)が原因物質によって異なる性質を利用し、疑われる原因物質を推測するこが可能です。食事をした後に下痢や嘔吐をしたからと言って我々が勝手に食中毒と決めることはできません。食品衛生法の中で、食中毒と診断(断定)できるのは医師のみで、診断(断定)した医師は管轄する保健所に報告しなければいけないルールとなっています。多くは、細菌やウイルスによるものが多く、特に上位3つの原因物質、ノロウイルス、カンピロバクター、サルモネラで全体の発生件数の約8割を占めています。これら多くの原因物質は、食品を汚染しても味や臭い色などの変化は少なく、気づかない間に感染するケースが多いです。また、抵抗力の弱い高齢者が乳幼児が感染すると症状が悪化するケースが多く、特に血便、意識障害、呼吸困難、耐えられない下痢や嘔吐の症状がある場合は早めに病院で医師による診察を受けることをお薦めします。
発生状況
食中毒による発生件数、患者数など発生状況の概要を知るためには、厚生労働省から毎年発表する統計があります。平成28年に発生した件数は1139件、患者数は2万252人でした。前年(平成27年)に発生した件数1202件、患者数2万2718件に比べ若干ですが減少しています。食中毒の原因別の発生状況を5つの分類で見ると、最も多いのがウイルスによる発生で356件、患者数が1万1462名、次に多かったのが、細菌による発生で480件、患者数が7483名となっています。最も新しく追加された寄生虫による発生が147件、患者数が406名となっています。また、自然毒による発生も109件、患者数が302名です。化学物質による発生が17件、患者数が297件でした。その他、原因が不明な食中毒によるものが30件の338名でした。詳しく食中毒の原因物質別で見るとノロウイルスが最も多い354件、次いでカンピロバクターが339件となり上位2件で全体の6割を占めているのも最近の特徴です。同様に発生患者別でもノロウイルスが1万1397名でトップ、次いでカンピロバクターが3272名となっています。ちなみにノロウイルスによる食中毒は、ウイルス全体の99%と占めておりウイルスはノロウイルスとほぼ言い切れます。ちなみに食中毒が原因で平成28年は14名の方が亡くなられています。原因別で見ますと腸管出血性大腸菌(VT産生)が10名、自然毒が4名となっています。詳しくは「食中毒の発生状況」参照してください。
治療方法の概要
嘔吐や下痢などの症状が突然現れると心配になり、病院で意思の診察を検討する方も少なくありませんね。これらの症状の多くは「食あたり」、「食中毒」によるものですが、ほとんどの下痢や嘔吐の症状の場合、適度な水分補給しながら安静にして過ごしていれば、病院へ行かなくても自然に回復かと思います。しかし、下痢や嘔吐の症状が激しかったり、長期間症状が続くと辛く心配になり病院へ行くことも考えると思います。患者さんの多くが、早く症状を治したいが、病院には行きたくない、でも症状が悪化し重症化したら心配と思います。食中毒の多くは、数日から数週間安静にしていれば自然に回復することが多く特に心配する必要は無いです。しかし、症状が非常に重く、死亡するケースもありますので注意しましょう。もし、突然の下痢や嘔吐があった場合、症状から判断して病院へ行った方がよいか説明をします。詳しくは「病院に行かず下痢や嘔吐など食中毒の症状を治したい」参照してください。
過去に発生した食中毒事件
約800人が発症し2人死亡。
1950年10月 大阪府南部を中心に白子干し20人が死亡
1955年 3月 東京都で児童1、936人が発症
雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件
1955年 7月 横浜市立西前小学校で学校給食が原因
700人以上が発症。
1963年 崎陽軒製造・販売の駅弁に黄色ブドウ球菌が付着
94人が発症
1966年 生カキによる病原性大腸菌により1、000人以上が発症
1968年 薩摩揚げが原因で岩手県・宮城県を中心に発生
608人が発症、4人死亡。
1968年 北海道帯広市で冷やし中華のタレが原因
教職員や生徒1、383人が発症
1982年 北海道札幌市の西友清田店で発生
患者数は7751名が発症。
1984年 熊本県で製造された辛子蓮根により11人が死亡。
1996年 雪印集団食中毒事件。
2002年 宇都宮市の高齢者施設でO157が発生
28人が発症し9人が死亡
2011年 「焼肉酒家えびす」ユッケによる死亡事件。
2012年 白菜の浅漬けによるO157集団食中毒事件。
2013年 女子栄養大学でノロウイルスで159人が発症。
2014年 静岡市の花火大会で冷やしキュウリによる集団感染
詳しくは「食中毒の歴史」参照してください。
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