腸チフス 食中毒 症状・治療・予防・原因

腸チフス 食中毒の症状・治療方法

腸チフスによる食中毒は、原因菌である腸チフスに汚染された食品や飲料水を誤って摂取することで起きる胃腸炎症状です。この菌による国内での発生件数は非常に少ないです。チフス菌の狭義には、腸チフスとパラチフスの二種(=チフス性疾患)を言うことが多いですが腸チフスのみを言うこともあります。医学、腸チフスとパラチフスは近縁な病原体による類似した疾患であるが、発疹チフスはこれら二つとはまったく異なる疾患であるため、明確に区別する必要があります。腸チフスやパラチフスの診断にはビダール反応を使用し原因菌を特定します。アンネ・フランクがこれによって命を落としたことで知られている。アンネの姉であるマルゴット・フランクもおそらくチフスによる死だといわれている。 詳しくは、「食中毒の種類と特徴」を参照してください。チフスとは、高熱や発疹を伴う細菌感染症の一種で、広義には下記の三種の総称。

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腸チフスの細菌学的な特徴

腸チフスによる食中毒は、サルモネラの一種であるチフス菌が食品や飲料水を汚染し、誤って摂取することで発生する感染症の一種です。日本において「チフス」と呼ばれる疾患には、この腸チフスの他、パラ腸チフス発疹腸チフスの3種類が存在し、それぞれが性質が違うために単純にチフスという表記は使用しません。腸チフスとパラチフスは、サルモネラに属する菌株による疾患であるが、発疹チフスはリケッチアの一種である発疹チフスリケッチアによる疾患に分類されます。以前は症状が似ているため発疹チフスや腸結核と同一の病気と考えられいずれもチフスと呼ばれていたが、病原菌が全く異なる別の病気です。腸チフスの感染源は、汚染された飲み水や食物などであり、生成環境が整った国内での発生件数は少ない。国内で発生する腸チフスの多くは、海外渡航先で感染したものが多いです。特に衛生環境の悪い地域や発展途上国で発生して流行を起こす伝染病であり、発展途上国を中心にアフリカ、東アジア、東南アジア、中南米、東欧、西欧などで世界各地で発生が見られます。日本では感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行時に2類感染症に指定されていたが、2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により3類感染症に変更となりました。

腸チフス(顕微鏡写真)食中毒e840net

食中毒の発生時期と発生地域

腸チフス発生地域|食中毒e840net

腸チフスは、国内で感染する可能性は低いです。東南アジアなどに渡航後、日本で発症する場合があります。細菌による感染のため気温が高い夏場に発生しやすいです。

食中毒の症状

腸チフスによる感染は、衛生環境の悪い厨房や工場で製造された食品や飲料水が汚染し、飲食物と一緒に体内に入ることで感染します。口から入った腸チフスは、リンパ節のなかで増殖して潰瘍をつくる一方で、血流に乗って菌が全身に広がり症状があらわれます。チフス菌に感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、2週間前後が一般的で38℃以上の高熱も続きます。解熱薬をのめば37℃くらいに下がることもありますが、きちんとした治療を受けない限り延々と続き、いったん解熱してもまた発熱の症状があらわれます。主な症状としては、頭痛、関節痛、全身のだるさ、食欲不振などの症状を伴います。下痢は半分くらいの人にみられます。腸のリンパ節に潰瘍ができるため、腸出血や腸穿孔の危険があります他の食中毒の可能性もある場合は、症状から食中毒を調べることができます。詳しくは、「食中毒の症状と種類」を参照してください。

腸チフスの症状|食中毒.e840net

検査方法

腸チフスの検査(イメージ)|食中毒.e840net

腸チフスによる感染は、国内で感染するリスクが低い為、感染が確認された場合は、過去1カ月以内の発展途上国などへの海外渡航歴を確認します。腸チフスによる食中毒の確定診断は、細菌学的検査によるチフス菌・パラチフスA菌が便や血液から検出されるか確認します。有熱期に血液培養を行えば、検出率は高いです。保菌者、無症状者では糞便培養、胆汁培養を行います。

治療

腸チフス菌による治療は、食事と安静と抗菌薬で行います。症状がある場合は、原則として入院治療となります。腸チフスは、小腸に潰瘍ができるので、下痢はなくても消化のよい食事をとり、安静を守ることが大切です。熱がなくなれば退院することは可能ですが、解熱後1週間くらいは腸出血の危険があるので、安静が必要です。腸チフス食中毒の治療は、原因菌を殺すための殺菌剤の服用をします。腸チフスに感染した場合、自然に回復することはなく放置することで重症化していきます。その為、早めに病院に行き医師の診察を受け治療することをおすすめします。詳しくは、「食中毒を病院に行かずに治したい」で確認してください。

腸チフスの処方薬

腸チフス、パラチフスに効果のある抗菌薬は限られています。クロラムフェニコール、アンピシリンまたはアモキシシリン、ST合剤が特効薬でしたが、現在は、耐性菌や副作用などのために、腸チフスの治療薬としてニューキノロン系薬が使われています。しかし、それに対しても耐性菌が出てきました。服薬期間は2週間が原則です。きちんと治療をしても菌が残ることがあるので、治療が終わってから確認の検査を行います。きちんと除菌をしておかないと、生涯にわたって保菌者になる可能性があります。尚、感染者は、食品を取り扱う仕事はできません。

腸チフスの原因

腸チフス菌の感染は患者さんの便に汚染された食べ物や手指を介して広がります。患者さん自身が手洗いを励行すれば他人への感染を予防できます。排泄の介助を必要とする子どもや高齢者が患者の場合には、介助者が手洗いを励行します。食中毒の原因についてまとめてあります。詳しくは、また、食中毒の原因と種類(一覧)で確認してください。

腸チフスの感染予防

腸チフス菌の感染は患者さんの便に汚染された食べ物や手指を介して広がります。患者さん自身が手洗いを励行すれば他人への感染を予防できます。排泄の介助を必要とする子どもや高齢者が患者の場合には、介助者が手洗いを励行します。ワクチンは国内で認可されたものはありませんが、トラベルクリニックなどでは接種できるところがあります。流行地にでかける場合は相談してください。

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