ナグビブリオ食中毒の特徴
ナグビブリオ菌は、河川や沿岸部の海水に生息しています。下水などの汚染がひどいところでは、数か月から1年以上生き続けます。また、ナグビブリオ菌はコレラ菌の仲間で、コレラ菌のいるところには必ずナグビブリオもいます。最近では、輸入された魚介類のナグビブリオ菌による感染が増えています。ナグビブリオの特徴は、①.河川や海の泥の中で増殖した後、水中に出てきます。②.コレラ菌と同じく、人の腸の中で増殖し、下痢をおこします。③.魚介類の中でも、特にカニ、エビ、生かきなどから感染します。ナグビブリオは、Non 01コレラ菌とも呼ばれ、01抗原を持たない事以外はコレラ菌と全く同じ性状を示す菌の総称で、食中毒の原因菌です。一般的にコレラの属菌の感染においては軽い胃腸炎であることが多いのですが、コレラ菌が産生するコレラレンテロトキシンと類似したエンテロトキシンを産生するものもあり、コレラ様の激しい水様性の下痢症を起こす事があります。
ナグビブリオ食中毒の発生時期
ナグビブリオ菌食中毒は、細菌性食中毒菌のため気温が高い夏場に発生しやすいです。
ナグビブリオ食中毒の症状
コレラ菌と同じくナグビブリオ菌に汚染された水や食物を経口的に摂取して発生します。喫食後数時間から72 時間以内に腹部不快感で始まり、ついで腹痛、悪心、嘔吐、下痢などの症状が現れます。下痢はコレラ類似の水様性から軟便程度までいろいろで、血便や38℃台の発熱をみることがあります。 ナグビブリオ菌の腸管外感染症としては創傷感染による化膿、心内膜炎、関節炎、髄膜炎のほか、肝硬変や糖尿病患者など免疫力の低下した状態では致命的な菌血症、敗血症に至ることがあります。他の食中毒の可能性もある場合は、症状から食中毒を調べることができます。詳しくは、「食中毒の症状と種類」を参照してください。
ナグビブリオ食中毒の検査
ナグビブリオ菌に感染しているかを特定するためには、患者の下痢糞便を用いた検査を実施します。また、食事由来の食中毒菌であるため考えられる食べ残した食品、調理場の拭き取り資料などが検査対象とします。それぞれの検査法はコレラ菌(V.cholerae O1、O139)に順じ。、糞便は採取後直ちにTCBS などの選択分離培地に塗抹し増菌培養も行います。食品は細砕し、1%NaCl加アルカリペプトン水(APW)で増菌した後、分離培養を行います。また、周囲の土壌や水からの汚染が疑われる場合には、水、汚泥など濾過が可能なものは濾過し、濾紙をそのままAPWに入れる。泥土など濾過ができないものは、同量の2倍濃度のAPW を加え、37℃で3日間培養するが、毎日分離培養を行います。ナグビブリオ菌はTCBS平板上では、直径2mm程度で平坦な白糖分解性の黄色集落を示すが、O1やO139コレラ菌とは区別できないので、直接診断用血清によって凝集反応を行い、コレラ菌ではないことを確認します。集落はTSI などの確認培地に釣菌し、以後各種の生化学的性状によって同定する。なお、ビブリオ寒天培地上では青色の集落を呈します。
ナグビブリオ食中毒の治療
ナグビブリオ菌による症状が重症化しなければ、約1週間程度で軽快しますが、基礎疾患を有する患者や39℃以上の発熱がみられた場合には重症化する恐れがありますので注意が必要です。年少者や高齢者などで脱水症状が見られた時には、電解質を含む輸液を積極的に行うよう治療面で考慮もします。重症化しなければ自宅で安静にしていれば回復をします。詳しくは、「食中毒を病院に行かずに治したい」で確認してください。
ナグビブリオ食中毒の処方薬
基礎疾患を有する患者や39℃以上の発熱がみられた方に対してテトラサイクリンやニューキノロンなどの抗菌薬投与を行い下痢症状と排菌期間の短縮に有効です。
ナグビブリオ食中毒の原因
ナグビブリオ食中毒の原因になりやすい食品としては、まぐろの刺身、カニ、エビ、生かきなどから菌が検出されています。特に、カニやエビの殻に付着していることが多いといわれています。東南アジアなど、コレラの流行地域から輸入した魚介類や飲料水には十分な注意が必要で、輸入冷凍魚介類についても注意が必要といわれています。食中毒の原因についてまとめてあります。詳しくは、また、食中毒の原因と種類(一覧)で確認してください。
ナグビブリオ食中毒の予防
予防のためには、患者の多くが魚貝類や飲料水に関連していることから、海産食品の生食とそれからの二次汚染調理済食品、加熱殺菌や消毒をしていない井戸水などの飲用および生野菜の洗浄など、日常生活での使用に注意が必要である。さらに生食用の魚貝類は新鮮なものを購入し、すぐに食べることを心がける。一般的にヒトからヒトへの感染は見られていない。
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