食中毒予防の3原則
食中毒を引き起こす主な原因は、細菌とウイルスの2つが大部分を占めています。細菌もウイルスも非常に小さく目には見えないものです。細菌は、「栄養」「温度」「湿度」の3つの条件があれば増殖します。また、ウイルスは「私たちの体内に侵入」すると爆発的に増殖する特徴があります。細菌もウイルスも病原体ですが、細菌は高温多湿の環境を好む一方、ウイルスは寒く乾燥した環境を好みます。そのため、夏場は細菌、冬場はウイルスによるものが多く発生します。しかし、近年では、ノロウイルスの遺伝子が変異し夏場でも感染が報告され、アルミサッシや暖房器具の普及によって冬場でも細菌性の食中毒が発生しています。多く発生している原因物質は、ノロウイルスが最も多く、カンピロバクター、サルモネラ菌があります。これらの原因物質で全体の約8割近くの発生を占めており、食中毒の予防はこの3つといっても過言ではありません。しかし、発生件数は少ないですが、腸管出血性大腸菌0-157やボツリヌス菌などの細菌に感染し症状が重症化すると死亡するケースもありますので注意が必要です。さらに東南アジアに渡航した際、現地の飲食物が原因で、赤痢、コレラの感染報告も希にあります。海外渡航先では、生食、生水の摂取は控える様にしましょう。これらの説明のとおり、夏場の細菌性食中毒の予防、冬場のノロウイルス対策がポイントです。ここでは、食中毒の予防の三原則について説明します。予防の三原則は主に細菌性食中毒を予防するために作られたものです。細菌は、気温が高くなる夏場に増殖する傾向があり、細菌の増殖を抑制することで発生を予防を目的としたものです。
つけない(清潔、洗浄)
食材を仕入れた時には既に食中毒を引き起こす細菌に汚染されていることがあります。例えば、牛肉の病原性大腸菌0-157、鶏肉のカンピロバクター、魚介類の腸炎ビブリオなどです。これら食材は、加熱調理することで細菌を死滅させ安全に食べることができますが、調理加工の段階で加熱しない生食用の食材に汚染を拡大することに注意しなければなりません。特に食材を切る際に使用する包丁やまな板を十分に洗わず使用すると食中毒の原因になりますので注意してください。詳しくは「つけない」を参照してください。
ふやさない(迅速、冷却)
少量の細菌が体内に侵入してもスグに下痢や嘔吐の症状は起こりません。多くの細菌は、温度、湿度、栄養の3つの条件が揃うと爆発的に増殖をします。しかし、3つの条件のうち1つでも欠けると増殖することはできません。10度以下の環境では、細菌の活動は鈍くなり増えにくくなります。食品を扱うときには室温に長時間放置せず、冷蔵庫に保管しましょう。詳しくは「ふやさない」を参照してください。
ころす(加熱、殺菌)
細菌の多くは、熱に弱い性質があります。もし、食材が汚染されていたとしても十分に加熱することで安全に食事ができることができます。しかし、加熱が不十分だと細菌が再び増殖し食中毒の原因となりますので注意が必要です。ます、シッカリ加熱することが重要になります。加熱できない食材は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムを使用した消毒方法もあります。詳しくは「ころす」を参照してください。
家庭での保存時に注意したい食中毒予防ポイント
(資料:厚生労働省)
- お買いものから帰ったら、表示を確認して、冷蔵や冷凍の必要な食品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。冷蔵庫に入れ忘れて常温で放置したものは、もったいないけど捨てましょう。
- 食品には、その種類に応じた適切な保存方法があります。何でも冷蔵庫に入れて冷やしておけば問題なし!というわけではありません。
- 常温保存できる食品であっても、高温になりやすい場所、日光のあたる場所、湿気が多い場所での保存は避けましょう。
- 食品を流し台の下に保存するときは、水に濡れないように注意しましょう。
- 食品を床に直接置くのもやめましょう。おいしいにおいに誘われて、ネズミやゴキブリが寄ってきてしまいます。
- 開封、開栓した食品は、早めに使い切りましょう。
ノロウイルスの予防
ノロウイルスの感染予防は、細菌性食中毒同様に「ノロウイルスをつけない」、「ノロウイルスをころす」が有効です。しかし、「ノロウイルスをふやさない」は、細菌性食中毒と違って、温度、湿度、栄養の3つの条件が揃ってもノロウイルスは増殖しません。ノロウイルスが増殖できるのは、私たちの腸内のみです。その為、ノロウイルスを「ころす」、「つけない」ことに注意をしましょう。ノロウイルスの予防については、「ノロウイルスの予防」を参照してください。
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