毒キノコの種類は多い
日本に自生しているキノコは、約2500種類程度と言われていますが、実際にはもっと多くの種類が自生していると思われます。非常に強い有害物質をもつ毒キノコなどは明らかになっていますが、非常に微量な有害物質が含まれているものは正直わかっておりません。その為、古くから食べられていたものが最近になって毒キノコの指定を受けることもあります。椎茸、エノキ、シメジなど一般的に流通している以外のキノコは、どんな有害物質が含まれているか詳しくわからないので継続的に大量に食べることはおすすめできません。また、毒キノコは水溶性の有毒物質が含まれることが多く、毒キノコの生食は避け、できるだけ水煮をするなどして茹で汁は捨てる様にしましょう。(必ずしも全ての毒キノコが水溶性の有毒物質ではないので注意してください。)
毒キノコの種類と有毒成分の特徴
毒キノコの原因 | 有毒成分の種類と症状 |
カエンタケ |
カエンタケは、非常に危険です。含まれる有毒成分は、マイコトキシンとして知られているトリコテセン類(ロリジンE、ベルカリンJ(ムコノマイシンB)、サトラトキシンHおよびそのエステル類の計6種類)が検出されます。カエンタケの症状は、摂取後10分前後の短時間で症状が現れる、初期症状には消化器系の症状が強く、腹痛・嘔吐・水様性下痢などの症状が現れます。また、めまい・手足のしびれ・呼吸困難・言語障害・白血球と血小板の減少および造血機能障害・全身の皮膚のびらん・肝不全・腎不全・呼吸器不全といった多彩な症状が現れ、致死率も高い。また回復しても、小脳の萎縮・言語障害・運動障害、あるいは脱毛や皮膚の剥落などの後遺症が残ることがあります。 |
カキシメジ |
カキシメジの毒成分は、水溶性のウスタル酸です。ウスタル酸は2002年になって発見された。なお青酸生産能もあるが微量であるため中毒を起こすには至らない。カキシメジの中毒症状は、喫食後30分 - 3時間後で、Na+/K+-ATPアーゼを阻害して頭痛、腹痛、嘔吐、下痢を引き起こすがカキシメジを食べた量によりにより変動します。 |
クサウラベニタケ |
クサウラベニタケの毒成分は、溶血性タンパク、コリン、ムスカリン、ムスカリジン(Muscaridine)などである。中毒症状は、摂食後10分から数時間で症状が現れ、神経系および消化器系の食中毒を起こし、死亡例もあります。 |
シロタマゴテングタケ |
シロタマゴタケを誤って食べただけで死に至るほどの猛毒を持っております。同じくテングタケ科テングタケ属に属し、タマゴテングタケ、ドクツルタケととも御三家と呼ばれている。シロタマゴタケの毒性分は、ファロトキシン類、アマトキシン類、溶血性タンパクであり、中毒症状はタマゴテングタケ様の中毒症状を示す。 |
タマゴテングタケ |
タマゴテングタケの中毒症状は、タマゴテングタケ、ドクツルタケ同様、2段階に分けて起こる。まず食後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こり、その後、小康状態となり、回復したかに見えるが、その数日後、肝臓と腎臓等内臓の細胞が破壊されて最悪の場合死に至ります。 |
ツキヨタケ |
ツキヨタケが持つ毒の主要毒成分はセスキテルペンのイルジンS などとされるが研究途上にある。食後約30分から3時間程度で嘔吐や下痢などの食中毒の症状が現れ、見るものが青く見える幻覚症状を伴うことがある。 |
主な食中毒症状は、胃腸炎型、コレラ型、脳症・神経型の3つ
毒キノコによる食中毒の症状は、胃腸炎型、コレラ型、脳症・神経型の3つに分類することができます。非常に危険な毒キノコは、カキシメジ、ツキヨタケ、クサウラベニタケなど毒キノコ御三家の他にも約30種類程度あります。多くの毒キノコによる食中毒の症状は、下痢や嘔吐など消化器系のみで病院に行かずに回復することが多いです。しかし、非常に有毒成分が強く、病院で治療しなければ症状が悪化し死亡するケースもあります。厚生労働省による食中毒統計の発表によると1年間で発生した食中毒のうち毒キノコによる食中毒の患者数は、年間で60件から100件程度ですが、自宅で療養されたかたの分を含めると10倍程度は発生しているかと思われます。代表的な種類と食中毒の症状をまとめましたので参考になさってください。
胃腸炎症状
毒キノコによる食中毒の症状は、有毒成分により下痢や嘔吐などの胃腸炎症状が多いです。毒キノコに含まれる成分の強さや摂取量さらには体調などで現れる症状も異なります。一般的には毒キノコを誤って食べると早いと30分おそくとも2時間程度で症状が現れます。下痢や嘔吐などの症状は、数日間繰り返す事が多いですが自然に回復します。しかし、毒キノコの中でも強い有毒成分が含まれるものは、血便が出たり、内臓疾患の機能を低下させる場合もありますので、意識が朦朧としたり出血が確認される場合には躊躇せず病院に行くようにしましょう。代表的な胃腸炎症状を引き起こすものには、ツキヨタケ、イッポンシメジ、クサウラベニタケ、カキシメジなどがあります。
コレラ様症状
コレラの様な症状とは、コレラに感染すると非常に激しい下痢(コメのとぎ汁のような下痢)のような症状の例えです。コレラ菌は、衛生状態が悪い東南アジアで多く発生し、汚染された飲食物を摂取すると6時間から12時間程度で下痢などの食中毒の症状があらわれます。有毒成分であるアマニタトキシンという成分が激しい下痢や腹痛を引き起こし、さらに激しい下痢による脱水にも注意する必要があります。抵抗力が弱い高齢者や乳幼児は、脱水にならないように注意が必要です。毒キノコによるコレラ様症状は、数日で回復しますが、脱水にならないように輸液(点滴)などの処置を行う必要があります。種類によっては、血便が出たり内臓疾患の機能を低下させる場合もありますので、意識が朦朧としたり出血が確認される場合には躊躇せず病院に行くようにしましょう。代表的な胃腸炎を引き起こす毒キノコには、タマゴテングタケ、ドクツルタケ、コレラタケなどがあります。
脳症・神経型症状
脳症・神経型の毒キノコは、毒性が強く重症化することがありますので注意が必要です。成分によって違いますが、物がはっきり見えない(視覚障害)、ろれつがまわらない、酩酊状態、暴れたり大騒ぎをする(狂騒状態)、寝てしまう(昏睡状態)などの症状があらわれます。症状が重たい場合には死亡するケースもあります。脳症・神経型の有名な毒キノコは、ワライタケなどがあります。脳が錯乱状態なのと顔面の神経がコントロールできない状態になり笑っている様に見えるからだと言われています。この様な症状は数日で回復しますが、重症化する場合もありますので注意してください。ドクササコは、ヤケドタケともいわれ、摂食後1日から1週間ぐらいで発病し、手足にはまるで焼け火箸を押し付けられたような赤い腫れが生じ、激痛に襲われます。そのため、肢端紅痛症と呼ばれています。厄介なことに、肢端紅痛症の激痛は1ヶ月以上続くことが多く、患者は長期にわたって症状に悩まされることになります。
毒キノコ食中毒の対処・治療方法
見知らずキノコを食べて下痢や嘔吐さらに意識障害がある場合には、毒キノコによる食中毒を疑った方が良いでしょう。その様な場合には、水を飲み胃の内容物を吐きだすようにしましょう。病院に行き医師に症状を説明してください。この際に食べた料理や食材が残っていれば持参すると食中毒の治療方針を決める参考になります。毒キノコによる食中毒の治療は、胃洗浄を行い、場合によっては、血液中の有害物質を濾過したり薬を服用する場合もあります。しかし、有害物質を解毒する薬がないこともあります。毒キノコによる食中毒にならないためにも知識がなく(自信がない方)は、とらない、たべない、人にあげないようにしましょう。毒キノコによる食中毒の原因の多くは、素人が誤って採取したものを食べてしまう事で発生しています。なので専門的な知識がない方がピクニックついでキノコをとって食べるのはおやめください。また、素人が食べられるキノコの判断にすることが多い迷信・・・例えば、地味な色の種類は食べられる、塩漬けにすると食べられる、ナスと一緒に煮れば食べられるなど全てうそです。この様なことを信じて採ったり食べたりするのはやめましょう。毒キノコの種類ごとに症状や対処方法を説明
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