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毒キノコによる食中毒

毒キノコによる食中毒

自然毒を含む食品は、植物(菌類も含む)と魚介類が大部分を含み、肉類の自然毒は殆どありません。その中でも大部分を占めるのがキノコ類で、自然毒における食中毒事件数もキノコ類が一番多いです。日本人は昔からキノコ類と深いかかわりがあったみたいです。縄文時代の遺跡からキノコの形をした土器が発見しており当時から日本にはキノコ類が自生していた事が推測されます。また、平安時代になると当時の日記からキノコ類を食したり、キノコの名前(キクラゲ、クリタケ、ヒラタケ、マイタケなど)が登場したりしております。当時からキノコ類による食中毒が発生していたことが残された資料などでもわかっております。



毒キノコ類による食中毒について

日本には約2500種類ほどのキノコが知られていますが、実在数はこの2~3倍はあると考えられています。このうちどの位が毒キノコなのかは実はまだよくわかっていません。このうち猛毒及び中毒の多いキノコは約30種類ですが、カキシメジ、ツキヨタケ、クサウラベニタケの3種類でキノコ中毒の70%以上を占め3大毒キノコとして知られています。毒キノコによる食中毒が多発するのはキノコ狩りのシーズンである9月~11月頃で、全国で毎年60件~100件発生し250人~500人が中毒しています。これは報告された件数であり、中毒の90%以上が家族単位や家庭内で発生するため、実際中毒事故が起こっても死亡や、重症にならない限り、病院、診療所に行かないので中毒件数はこれよりも増加すると思われます。


キノコの毒には色々な種類があり、キノコによっては複数の毒を含有しているものもありますが、キノコ中毒をタイプ別に分類してみると

 1.主として胃腸症状型(胃腸型)
 2.主として自律神経作用型(自律神経型)
 3.主として中枢神経作用型(中枢神経型)
 4.主として末梢神経障害型(末梢神経型)
 5.主として肝臓・腎臓障害型(肝臓・腎臓型)

上記の5のタイプに分類することが出来ます。これらのタイプについて、主な症状、発症時間、主な毒成分、主な毒キノコ名について説明します。

毒を持つキノコ類の一覧

毒を持つキノコ類の名称
写真 名前 説明
 イボテングタケ  イボテングタケ(疣天狗茸、学名:Amanita ibotengutake)とはハラタケ目テングタケ科のキノコの一種。夏から秋に針葉樹林や広葉樹林から発生する大形のキノコである。つばは取れやすく、ひだは白色で、茎は白かクリーム色である。傘の上には条線があり、薄い茶色を帯びたイボ状のつぼの破片がついている。なお、毒成分のイボテン酸はこのキノコから発見されたものである。
 
 ウスキテングタケ  ウスキテングタケ(薄黄天狗茸、Amanita orientogemmata)はハラタケ目テングタケ科のテングタケ属に分類されるキノコの一種である。梅雨時~秋に、広葉樹(コナラ・クヌギ・スダジイ・カシ類・シデ類など)林、あるいはこれらにアカマツヤモミなどの針葉樹がまじった林内の地上に点々と発生する。
テングタケ属に分類される他の多くのキノコ同様に有毒であり、イボテン酸、ムシモール、スチゾロビン酸、スチゾロビニン酸、溶血性タンパク[6]などを含むという。食べると発汗、意識混濁、嘔吐、下痢等の症状を起こす。
 
 オオワライタケ  オオワライタケ(大笑茸、Gymnopilus junonius)はハラタケ目フウセンタケ科チャツムタケ属の毒キノコ。従来の学名はGymnopilus spectabilisだったが、現在はシノニムとなっている。日本のみならず全世界に広く自生する。傘径5~15cm、柄の長さ5~15cm。8~11月、広葉樹、まれに針葉樹に発生。木の生死は関係ない。やや稀に傘径20cm以上の巨大な物が発見されることがあり、ニュースなどで取り上げられることもある
オオワライダケは食べると幻覚作用があり、神経が異常に刺激され非常に苦しいというが、致命的ではない。食後5分から10分ほどでめまい、寒気、悪寒、ふるえなどの神経症状が出現し、多量に摂取すると幻覚、幻聴、異常な興奮、狂騒などの症状が出る。また顔面神経も刺激され、顔が引きつって笑っているように見えるという。欠片を一かじりして吐き出しただけで腕が腫れる事があるという。毒成分は不明。水にさらし、苦味を抜き食べる地域もある。
 
 カエンタケ  カエンタケ(火炎茸・火焔茸、Hypocrea cornu-damae)は、ニクザキン目ニクザキン科ニクザキン属に属する子嚢菌の一種である。初夏から秋にかけ、広葉樹(ミズナラ・コナラ)の立ち枯れ木の根際や、なかば地中に埋もれた倒木などから発生する。カエンタケは、古くから中毒・死亡事故が発生していたという。致死量はわずか3g(子実体の生重量)程度ときわめて強力である。日本では6例ほどの中毒事例が報告され、計10名の中毒患者が出ており、そのうち2名は死亡している。
カエンタケの毒成分 は、マイコトキシンとして知られているトリコテセン類(ロリジンE、ベルカリンJ(ムコノマイシンB)、サトラトキシンHおよびそのエステル類の計6種類)が検出されている。これらの成分には皮膚刺激性もあるため、手にとって観察するだけでも皮膚炎を起こす可能性がある。
カエンタケの症状は、摂取後10分前後の短時間で症状が現れる。初期には消化器系の症状が強く、腹痛・嘔吐・水様性下痢を呈する。その後、めまい・手足のしびれ・呼吸困難・言語障害・白血球と血小板の減少および造血機能障害・全身の皮膚のびらん・肝不全・腎不全・呼吸器不全といった多彩な症状が現れ、致死率も高い。また回復しても、小脳の萎縮・言語障害・運動障害、あるいは脱毛や皮膚の剥落などの後遺症が残ることがある。
  
 カキシメジ  カキシメジ(柿占地、Tricholoma ustale)はハラタケ目キシメジ科キシメジ属のキノコ。毒キノコとして知られる。秋、クヌギ、シラカシといった広葉樹林やマツなど針葉樹林の地上に生える。ツキヨタケやクサウラベニタケと並び、もっとも中毒例の多いキノコのひとつである。 カキシメジの毒成分は水溶性のウスタル酸(あるいはウスタリン酸とも。Ustalic acid)である。ウスタル酸は2002年になって発見された。なお青酸生産能もあるが微量であるため中毒を起こすには至らない。
 カキシメジの中毒症状は、喫食後30分 - 3時間後で、Na+/K+-ATPアーゼを阻害して頭痛、腹痛、嘔吐、下痢を引き起こすが[3]食量により変動する。医療機関により胃の内容物を吐かせ点滴療法により1 - 3日で回復する。本種による死亡例は報告されていない。
 
 キホウキタケ  キホウキタケ(黄箒茸、学名Ramaria flava)はラッパタケ科ホウキタケ属のキノコ。日本、ヨーロッパに分布する。夏から秋にツガ、モミなどの林の地上に発生する。子実体はレモン色、成熟すると硫黄色で根元は白色。肉は白色で傷をつけると赤くなる。胞子紋は黄土色。胞子は長楕円形。縦に裂けることの可否、子実体の伸び方など、類似種が多数報告されており、分類が待たれる。有毒とされる。毒成分は不明。嘔吐、下痢などを起こすことがある。
 クサウラベニタケ  クサウラベニタケ(臭裏紅茸、Entoloma rhodopolium (Fr.)Kummer f.rhodopolium)は、ハラタケ目イッポンシメジ科イッポンシメジ属イッポンシメジ亜属のキノコ。アシボソシメジ(埼玉)、ウススミ(秋田)、サクラッコ(秋田)、ニタリ(大分)、メイジンナカセなどの地方名をもつ。夏から秋にかけて、アカマツ混生林下や広葉樹林下に単独~群生する。傘は3〜10cmで吸水性があり、湿ったとき灰色っぽく、乾くと黄土色っぽくなる。クサウラベニタケは有毒であり。食用のウラベニホテイシメジやカクミノシメジ、シメジモドキ(ハルシメジ)、ホンシメジとよく似ており、中毒例が多い。毒成分は、溶血性タンパク、コリン、ムスカリン、ムスカリジン(Muscaridine)などである。
 クサウラベニタケの中毒症状は、摂食後10分から数時間で症状が現れ、神経系および消化器系の食中毒を起こし、死亡例もある。

 クロハツ  クロハツ(黒初、Russula nigricans(Bull.)Fr.)はベニタケ目ベニタケ科ベニタケ属クロハツ節に属するキノコの一種。夏~秋にブナ科・カバノキ科・ヤナギ科・マツ科などの樹下に発生し、これらの樹木の細根との間で外生菌根を形成する。
クロハツは生で食べると中毒症状を引き起こし、死亡例も確認されている。加熱調理して食用に供する地方もあるが、毒成分がまだ解明されていないため、食材としての利用には注意。さらに、猛毒種のニセクロハツに酷似するため、同定には細心の注意を払う必要がある。クロハツは、子実体を傷つけると傷口がまず赤く変色し、その後で徐々に黒変するのに対し、ニセクロハツでは赤く変色したままで留まり、黒色にはならない点で区別されるが、この変色性の強さや速さは、子実体の生長段階の違いや発生環境の条件などによって影響されるため、変色性のみによって両者をはっきり区別することは、しばしば難しい。

  
 コレラタケ  コレラタケ(虎列剌茸、学名 Galerina fasciculata)は、フウセンタケ科ケコガサタケ属のキノコ。旧名ドクアジロガサ(毒網代傘)。細菌性感染症のコレラに似た症状を呈し、致命的な毒性を持つことから、社会に対して毒キノコとしての注意を喚起するため、このように改名された。秋のやや遅くに、スギなどの朽木や古いおがくず、ゴミ捨て場に単生~群生する。傘は小型で、湿ったときは暗肉桂色で、乾くと中央部から明るい淡黄色となる。柄は細長く中空で、上部に不完全なつばがある。
コレラダケの中毒症状は、その名のように食後概ね10時間(摂食量により、6–24時間)後にまずコレラの様な激しい下痢が起こり、1日ほどで一度回復する。その後4–7日後に肝臓、腎臓などの臓器が破壊され、劇症肝炎や腎不全症状を呈し、最悪の場合死に至る。この症状はタマゴテングタケ、ドクツルタケなどの症状と同じであり、これらと同様アマトキシン類によって引き起こされる。毒性分は、加熱によっても失われない。治療方法は対症療法のみで、胃内完全洗浄ののち血液透析する。

 シビレタケ属  シビレタケ属(Psilocybe)とはモエギタケ科のキノコの属のひとつ。世界で広く分布している。この属は多くの種で幻覚化合物を含まないにもかかわらず、幻覚作用からよく知られた種であり、マジックマッシュルームとして広く知られている。幻覚作用を起こす物質としてシロシンやシロシビンを含んでいることが多く、ほとんどの種類が法律で麻薬として規制されている。傷つけると青く変色する種が多いが、変色しない種もある。
 
 シャグマアミガサタケ  シャグマアミガサタケ(赭熊網笠茸、Gyromitra esculenta)は、子嚢菌門フクロシトネタケ科シャグマアミガサタケ属に属するキノコの一種である。おもに春季、マツ属、モミ属、トガサワラ属、トウヒ属などの針葉樹下の地上に発生する。日本においては、スギ・ヒノキなどの林内でもときおり見出されることがある。
 シャグマアミガサタケそのままでは毒性が極めて強く、じゅうぶんな煮沸による毒抜き処理を要することや、毒抜き中に揮発した毒成分の不用意な吸入によっても中毒が起きる可能性があることを考えると、安易に賞味すべきキノコではない。有毒成分はヒドラジン類の一種であるギロミトリン(Gyromitrin:C4H8N2O)、およびその加水分解によって生成するモノメチルヒドラジンである。
 シャグマアミガサタケ中毒症状は採取したものをそのまま食べれば、食後7-10時間を経て、吐き気・嘔吐・激しい下痢と腹痛、痙攣などを起こす。重症の場合には肝障害とその結果としての黄疸や発熱・めまい・血圧降下などが現れるとともに、脳浮腫とそれに伴う意識障害ないし昏睡、あるいは腸・腹膜・胸膜・腎臓・胃・十二指腸などの出血をきたし、最悪の場合には2-4日で死に至ることがある。

 シロタマゴテングタケ  シロタマゴテングタケ(白卵天狗茸、Amanita verna)はハラタケ目テングタケ科テングタケ属の猛毒のキノコである。夏から秋に広葉樹林や針葉樹林の地上に発生する。傘の大きさは5~10cmの中型で白い以外はタマゴテングタケとほぼ同じである。世界に広く分布する。シロタマゴタケは有毒種であり、誤って食べただけで死に至るほどの猛毒を持っております。同じくテングタケ科テングタケ属に属する猛毒キノコのタマゴテングタケ・ドクツルタケとともに猛毒キノコ御三家と呼ばれている。
シロタマゴタケの毒性分は、ファロトキシン類、アマトキシン類、溶血性タンパクであり、中毒症状はタマゴテングタケ様の中毒症状を示す。
 
 スギヒラタケ  スギヒラタケ(杉平茸、学名:Pleurocybella porrigens)は、キシメジ科スギヒラタケ属のキノコの一種。スギワカイ、スギワケ、スギカヌカ、スギカノカ、スギモタシ、スギミミ、スギナバ、シラフサ、ミミゴケ、オワケなど地方により様々な俗称で知られる。なお、スギヒラタケ属は一属一種の単型である。
2004年までは北国では一般的な食用キノコとして知られており、肉質は薄いわりには歯ざわりが良く、味は淡白でくせがないため、和え物や味噌汁の具として、また塩漬けにして保存食として重宝されていたが、2004年(平成16年)秋、腎機能障害を持つ人が摂食して急性脳症を発症する事例が相次ぎ報告され、スギヒラタケが関与している疑いが強くなった。同年中に東北・北陸9県で59人の発症が確認され、うち17人が死亡した。発症者の中には腎臓病の病歴がない人も含まれているため、政府では原因の究明が進むまで、腎臓病の既往歴がない場合も摂食を控えるように呼びかけている。
スギヒラタケを食すると下痢や腹痛などの消化器系の中毒症状はなく、摂食後、2日から1ヶ月程度の無症状期間があり、初期症状は意図しない筋肉の収縮や弛緩を繰り返す「振戦」や発音が正しく出来ない「構音障害」、下肢の麻痺を示す。その後、意識の混濁や昏睡などの様々な意識障害を起こし、回復までには1~2ヶ月程度を必要とするが、回復期にはパーキンソン症候群に似た症状を呈することもある。病変は基底核、視床、前障、大脳皮質深部等に起き、組織学的には髄鞘の崩壊とアストロサイトの増生が特徴である。また、血清浸透圧や血清ナトリウム値の急激な変動を認めず、血液脳関門機能が障害を受けている。臨床的にはこの脳症の症状は炎症性ではなく「橋-橋外髄鞘崩壊症」に類似した病態が推定されている
 
 センボンサイギョウガサ  センボンサイギョウガサはナヨタケ科、ヒカゲタケ属の菌類。広い分布を持つ幻覚キノコ。シロシビンが幻覚性の元になっている。一箇所に多数生えることがあり、そこからこの名前がついた。センボンカイギョウガサは毒キノコであり、シロシビンが多量に含まれている。
サンボンサイギョウガサを大量に食すると中枢神経を刺激、幻聴、幻覚症状を発祥し、理性を破壊する。いわゆるマジックマッシュルームであり、麻薬のような効能を持つ。このため日本では法によって所持を制限されており、所持するだけで麻薬を持つのと同様に罰せられる。
 
 タマゴタケモドキ  タマゴタケモドキ(Amanita subjunquillea)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコ。アマトキシン類を含む猛毒キノコで、日本では死亡事故が数件報告されている。夏-秋に広葉樹林や針葉樹に生える。菌根菌で中型~やや大型のキノコである。世界においてはアジア極東部のみ発見されている。色は鮮やかな黄色である。傘は条線がなく、ひだ、つば、つぼは白い。
名前からはタマゴタケに似た印象があるが、形態的にはタマゴテングタケに近く、同様に猛毒である。(症状等は、タマゴテングタケを参照)

 タマゴテングタケ  タマゴテングタケ(卵天狗茸、Amanita phalloides)はハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコで、猛毒菌として知られている。夏から秋、主にブナやミズナラ林に生える。傘はオリーブ色、柄は白色でつばがある。ひだに濃硫酸をたらすと淡紅紫色に変色するという、他のキノコには見られない特徴があり、このキノコの判別に用いられる。
タマゴテングタケの中毒症状はドクツルタケやシロタマゴテングタケ同様、2段階に分けて起こる。まず食後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こる。その後、小康状態となり、回復したかに見えるが、その数日後、肝臓と腎臓等内臓の細胞が破壊されて最悪の場合死に至る。
 
 タマゴテングタケモドキ  タマゴテングタケモドキ(卵天狗茸擬、学名:Amanita longistriata)はテングタケ属テングタケ亜属に属するキノコの一種である。夏から秋にかけて、広葉樹林(あるいは広葉樹と針葉樹との混交林内)の地上に孤生ないし点々と群生する。分類学的位置からして、おそらくは外生菌根を形成して生活しているものと考えられている。
タマゴテングタケモドキは、ツルタケダマシに似たきのこによるらしい中毒例は報告されている。
 
 タマシロオニタケ  タマシロオニタケ(球白鬼茸、学名:Amanita sphaerobulbosa Hongo)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のきのこ。猛毒菌として有名。夏から秋にかけてブナ、ミズナラ林やアカマツ、コナラ林、シイ、カシ林などの林内地上に発生する。シロオニタケに似るが、根元がカブラ状に膨らむ特徴を持つ。現在のところ分布は日本と北アメリカ東部という離れた2つの地域のみで確認されている。
タマシロオニタケの毒成分はアミノ酸の2-アミノ-5-クロロ-6-ヒドロキシ-4-ヘキセン酸 、2-アミノ-4,5-ヘキサジエン酸、アリルグリシン、プロパルギルグリシンと考えられている。アマトキシン類によるものではないが(環状ペプチドについては未調査)、激しい下痢などの典型的なコレラ様症状で、アマトキシン類の中毒の症状と非常に類似する。1978年に長野県ではこのキノコによると思しき2名の死亡例も報告されている。
 ツキヨタケ  ツキヨタケは、ハラタケ目ホウライタケ科ツキヨタケ属に属するキノコの一種。現在の学名はOmphalotus guepiniformis(詳細は下参照)。夏から秋にかけてブナやナラ等の広葉樹の枯れ木に群生する。標高がやや高い場所では多く見られるキノコである。ワタリ、ワシタケ等の地方名がある。ツキヨタケが持つ毒の主要毒成分はセスキテルペンのイルジンS (Illudin) などとされるが研究途上にある。食後約30分から3時間程度で嘔吐や下痢などの食中毒の症状が現れ、見るものが青く見える幻覚症状を伴うことがある。最悪の場合、脱水症状などで死に至ることもある。
 テングタケ  テングタケ(天狗茸、Amanita pantherina (DC. : Fr.) Krombh.)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコである。別名はヒョウタケ(豹茸)、ハエトリタケ(蠅取茸)。灰褐色の傘には、広がった際につぼがちぎれてできた白色のイボがある。柄は白色でつばが付いている。針葉樹林のアカマツ林、トウヒ林、広葉樹林のコナラ林、クヌギ林などで夏から秋にふつうに見られる。テングタケは有毒で、食べると下痢や嘔吐、幻覚などの症状を引き起こし、最悪の場合、意識不明に至ることもある。
毒の成分はイボテン酸で、うまみ成分でもある。また、この成分は殺蝿作用もあり、同じ成分を含むベニテングタケよりも強い毒をもつ。
中毒症状は、食べてから15分から90分以内に発現し、2〜3時間でピーク。腹痛、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状。痙攣、精神の一時錯乱などの神経症状。 毒成分 イボテン酸(ibotenic acid )、ムッシモール(muscimol )、ムスカリン( musucarine )
治療としては、対症療法で、胃洗浄、活性炭と下剤の投与。このキノコに限らず、一緒に食べた人がいたら無症状でも出来るだけ速やかに胃の内容物を吐かせる。解毒剤 フィゾスチグミン。ムスカリンの拮抗剤であるアトロピンは中毒症状の程度により使用を判定する。後遺症 数日間の頭痛。
 
 ドクササコ  ドクササコ(毒笹子、学名Clitocybe acromelalga)は、キシメジ科カヤタケ属に属する、日本特有の毒キノコ。秋に、タケやササ、コナラ林などの地上に群生する。傘は径5-10cmで茶褐色。ひだは黄白色。柄は傘と同色で、縦に裂けやすい。
ドクササコによる食中毒は、このキノコを食べた場合、消化器症状は無く、目の異物感や軽い吐き気を経て、数日後に手足の先、鼻、陰茎など、身体の末端部分が赤く火傷を起こしたように腫れ上がり、その部分に焼けた鉄を押し当てられるような激痛が生じる。ヤケドキン(火傷菌)と呼ばれるのはこの特徴による。また、際立った特徴として、摂食から発症までの潜伏期間が5日前後と長いことが上げられる。
ドクササコの毒性成分として、ヌクレオシドのクリチジン(Clitidine)、アミノ酸のアクロメリン酸(Acromelic acid)などが抽出されている。クリチジンには血管拡張作用が、アクロメリン酸には脳のグルタミン酸受容体を介した、神経興奮作用があることが判っているが、上述の火傷と同様の症状が現れる理由はまだ明らかになっていない。

 
 ドクツルタケ ドクツルタケ(毒鶴茸、Amanita virosa)はハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコ。日本で見られる中では最も危険な部類の毒キノコであり注意を要する。北半球一帯に分布。初夏から秋、広葉樹林及び針葉樹林の地上に生える。中から大型で、色は白。柄にはつばとつぼ、そしてささくれがある。
ドクツルタケは毒性が極めて強く、毒成分は環状ペプチドで、アマトキシン類(α-アマニチンなど)、ファロトキシン類(ファロイジンなど)、ビロトキシン類、ジヒドロキシグルタミン酸などからなる。ドクツルタケの毒性は1本(約8グラム)で1人の人間の命を奪うほど強い。
ドクツルタケを誤植してしまった場合、摂食後6 - 24時間で腹痛、嘔吐、コレラのような激しい下痢が起こり、1日ほどで治まり24 - 72時間後に肝臓や腎臓機能障害の症状として黄疸、肝臓肥大や消化器官からの出血などが現れる。胃洗浄や血液透析などの適切な処置がされない場合は死に至る。死亡率も高い。

 ドクベニタケ  ドクベニタケ(毒紅茸、Russula emetica (Schaeff.:Fr.) Gray)はベニタケ科ベニタケ属ドクベニタケ節のキノコ。夏から秋に様々な森林下に発生する菌根菌。傘は赤からピンク色。雨などによって色が落ち、白くなっていることもある。傘の表面が皮状になっていて容易にむくことが出来る。毒キノコの識別法の誤った俗説として、縦に裂ければよい、派手な色のものは有毒などとするものが生じた背景にはドクベニタケの存在が大きかったと言われている。これはドクベニタケが、子実体が球状細胞から構成されていて裂こうとするとぼろぼろ崩れてしまうベニタケ科のキノコであること、また赤やピンクといった目立つ色をしていること、さらにいかにも毒キノコ然とした刺激に富んだ味に起因する。実際には毒キノコの大半はベニタケ科以外の科に属しているので容易に縦に裂け、ベニテングタケなどを除くと地味な色のものが普通であり、味もむしろ美味なものがしばしばある。
 ドクヤマドリ  ドクヤマドリ(毒山鳥、Boletus venenatus)はイグチ目イグチ科ヤマドリタケ属の中型〜超大型の菌根性のきのこである。しっかりした肉質を持つ非常に重いきのこで、自重で倒れているものも散見される。典型的なイグチ型のきのこで食用菌のように思えるが、強力な消化器系の毒を持ち、下痢、腹痛などの激しい中毒症状に見舞われる。
ドクヤマドリの毒は、たんぱく質系で胃腸毒、腎毒性を持つとされる。少量食べただけでも5時間ほどで下痢、腹痛、嘔吐、発熱などをおこし、腎臓に障害を起こすこともあると言われる。毒成分には、ボレベニン類が含まれ、マウスに対する致死性が確認されている。
 
 ニガクリタケ  ニガクリタケ(苦栗茸、Hypholoma fasciculare(Hudson:Fr.)Kummer)はハラタケ目モエギタケ科モエギタケ亜科クリタケ属のキノコ。有毒。毒性は強く多くの死亡例がある 。ニガコ(東北)、スズメタケ(青森)などの地方名がある。ほぼ一年中見ることが出来るキノコで針葉樹および広葉樹の木材や切り株などに発生する傘の直径が2~5cm程度小型のキノコ。傘は鮮黄色から淡褐色。幼菌時の皮膜の名残が傘の縁や柄にあるが、消失しやすい。名前の通り生のものは味が苦く、飲み込まずに味見をすることで区別できる。
ニガクリタケがもつ毒成分はトリテルペンのファシクロール(ファシキュロール、fasciculol)E、F で、カルモジュリン阻害作用を持つ。
ニガクリダケを誤食すると食後3時間程度で症状が現れる。消化器系の症状が中心で強い腹痛、激しい嘔吐、下痢、悪寒など。重症の場合は、脱水症状、アシドーシス、痙攣、ショック、手足の麻痺などを経て神経麻痺、肝障害などを引き起こし、最悪の場合死に至る。
 
 ニセクロハツ  ニセクロハツ(偽黒初、Russula subnigricans Hongo)はハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属クロハツ節のキノコ。主に夏、シイ・カシ林などの地上に発生する。傘は灰褐色、ひだはクリーム色で傷つくと赤変する。柄はほぼ傘と同色。猛毒で、クロハツと誤って食べて死亡した例もある。クロハツは傷つくと赤変後、しばらくすると黒変するので区別できる。ニセクロハツが持つシクロプロペンカルボン酸は猛毒と言われ致死量は2~3本とも言われる。 潜伏期は、数分~24時間。嘔吐、下痢など消化器系症状の後、縮瞳、呼吸困難、言語障害、筋肉の痛み、多臓器不全、血尿を呈し重篤な場合は心停止となる。
 

 ネズミシメジ  ネズミシメジ(ねずみしめじ、学名Tricholoma virgatum)は、キシメジ科キシメジ属のキノコ。秋にモミ、アカマツ、ツガなどの針葉樹林に発生する。ブナ林に発生することもある。発生場所からシモフリシメジと混同されることがあるが、ネズミシメジは有毒であり食用とはならない。傘の表面はネズミ色で、黒みがかった放射状繊維紋がある。傘は、小~中型。はじめ円錐型、成長すると開くが中央部は突出した形状が維持される。傘の裏のヒダは、はじめ白色、成長すると灰白色で湾生。柄は白色。上下同大である事が多いが、基部がやや太くなることがある。誤食してしまうと苦み、辛みがあるとされる。嘔吐、下痢、脱水症状など胃腸系の中毒を起こす。
 
 ヒカゲシビレタケ  ヒカゲシビレタケは、ハラタケ目モエギタケ科シビレタケ属のキノコ。催幻覚性成分のシロシビンを含むため、マジックマッシュルームの一種としても知られており、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬原料植物及び麻薬として規制されている。1977年に毒キノコ研究の第一人者、横山和正により新種記載された。本種はシビレタケ属の中でもシロシビンの含有率が非常に高い。直径1-5cm。茶褐色。粘性はない。幼菌時は釣鐘型で、成長すると傘が開く。夏から秋にかけて日陰の道端や林などに束生する。日本では本州のみで分布が確認されており、特に温暖な地方に多い。摂取して30分~1時間ほど後に酔ったような興奮状態となって、吐き気を伴う不快感、めまい、幻聴、幻覚、麻痺、手足のしびれといった症状が出る。中毒状態は通常4~6時間程度持続するが、めまい等の症状がしばらく残る場合もある。シロシビンの毒性に痙攣や昏睡を引き起こすといった危険性はなく、死亡するようなことはまずない。むしろ危険視されるのは、精神錯乱による無謀行動や自傷行為にあると言える。脳の中枢神経における伝達物質の一つであるセロトニンとシロシビンは分子構造が似ているため、セロトニン受容体に作用して以上のような症状を引き起こすと考えられている。
 
 ヒトヨタケ  ヒトヨタケ(一夜茸、学名:Coprinopsis atramentarius)は、ハラタケ目ナヨタケ科ヒトヨタケ属に属するキノコ。春から秋に広葉樹の枯れ木や埋もれ木に発生する腐生菌である。傘は灰色で細かい鱗片があり、初め卵型だがだんだん縁が反転していく。ひだは初め白色で、胞子が成熟するにつれ、胞子自体の着色のため、黒色に変わっていく。肉は白色、無味でややキノコ臭がある。液化する前の幼菌は食用になり美味であるが、酒類を飲む前後に食べると中毒症状を呈する。含有成分コプリンの代謝生成物1-アミノシクロプロパノールが体内のエタノールの代謝酵素の作用を阻害するため、エタノールの酸化はアセトアルデヒドになった段階で、次の酢酸への代謝が阻害されてしまう。この結果、アセトアルデヒドが血中に蓄積するために、著しい悪酔い症状様の中毒症状を起こすこととなる。コプリンの作用が体内から消えるまで、食後一週間程度は飲酒を控えたほうが良い。コプリンと同様のエタノール代謝阻害作用による中毒を起こす美味なキノコとしては、他にホテイシメジ(成分はオクタデセン酸などの共役エノン、ジエノン類)が知られている。中毒症状は通常は4時間以内に、自然に回復する。さっとゆでて、ねぎぬたや三杯酢、山椒や柚の香りの吸い物にしたりするなどの調理が適する。
 
 ヒメアジロガサ  ヒメアジロガサ(学名 Galerina marginata)はケコガサタケ属に属するキノコの一種。猛毒アマトキシン類を含む。傘は茶色く、かすかに条線がある。ひだは黄褐色。茎は下に行くほどこい茶色となり、膜質のつばがあるが取れやすい。夏から秋にかけて針葉樹などの枯れ木に発生する。このキノコはアマトキシンを含んでいるため、食べると中毒する。しかし、見た目が茶色く温和なうえ、エノキタケ、ナラタケ、センボンイチメガサとよく似ているため誤食されることが多い。
 ベニテングタケ  ベニテングタケ(紅天狗茸、学名: Amanita muscaria)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコ。主に高原のシラカバやマツ林に生育し、針葉樹と広葉樹の双方に外菌根を形成する菌根菌である。深紅色の傘にはつぼが崩れてできた白色のイボがある。主な毒成分はイボテン酸、ムッシモール、ムスカリンなどで、食べると下痢や嘔吐、幻覚などの症状をおこす。毒成分であるイボテン酸は非常に強い旨味成分があり、長野県の一部地域では塩漬けにして毒抜きし、食用としている場合がある。ベニテングタケを乾燥させると、イボテン酸がより強く安定した成分であるムッシモールに変化し、毒性が強化される。また、微量ながらドクツルタケのような猛毒テングタケ類の主な毒成分であるアマトキシン類を含むため、長期間食べ続けると肝臓などが冒されるという。有効成分は水溶性であるため、加熱調理を加えれば部分的には解毒することもできるが食用には向かない。摂取すると30 - 90分程度で、吐き気や眠気、発汗、視聴覚や気分の変化、多幸感、健忘といった症状があらわれる。より重い中毒では、混乱、幻覚といったせん妄症状や昏睡がおき、症状は2日以上続く場合もあるが、たいていは12 - 24時間でおさまる。医療機関での治療は、胃洗浄がおこなわれる。解毒剤は存在しない。
 
 ミドリスギタケ  ミドリスギタケ(緑杉茸、学名Gymnopilus aeruginosus)は、ハラタケ目フウセンタケ科チャツムタケ属に属するキノコ。オオワライタケの近縁種である。かさはほとんど粘性を欠き、暗紫褐色~暗オレンジ褐色の地にやや濃色のささくれ状鱗片をちりばめている。おもに針葉樹(日本においてはマツ科あるいはヒノキ科など)の倒木や切り株などに発生する。オオワライタケとの類縁関係から、ミドリスギタケにも同様の毒性が疑われてきている。北米産のミドリスギタケからは幻覚性物質の一種シロシビンが単離されている。しかし、確実にミドリスギタケが原因と認められる中毒例はほとんど記録されていない。
 ワライタケ  ワライタケ(笑茸、学名:Panaeolus papilionaceus)はヒトヨタケ科ヒカゲタケ属の毒キノコ。傘径2~4cm、柄の長さ5~10cm。春~秋、牧草地、芝生、牛馬の糞などに発生。中枢神経に作用する神経毒シロシビンを持つキノコとして有名だが、発生量が少なく、決して食欲をそそらない。食してしまうと30分から一時間ほどで色彩豊かな強い幻覚症状が現れ、正常な思考が出来なくなり、マンガでよくあるように意味もなく大笑いをしたり、いきなり衣服を脱いで裸踊りをしたりと逸脱した行為をするようになってしまう。毒性はさほど強くないので、誤食しても体内で毒が分解されるにつれ症状は消失する。
 
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