セレウス菌食中毒

セレウス菌 食中毒の症状・治療・予防・期間

セレウス菌食中毒の原因菌でもあり、土壌、ほこり、汚水、野菜、香辛料など自然界に広く分布する好気性芽胞形成菌です。古くから食物の腐敗細菌として知られていましたが、病原性についてはあまり問題にされず、衛生微生物学の分野では雑菌として取り扱われてきました。近年、セレウス菌による食中毒がしばしば報告されるようになり研究も進展してきたところから、厚生省では昭和57年3月に、ナグビブリオなど7菌種を新たに認定しました。その際に、ウエルッシュ菌とともに58年から正式に厚生労働省の統計にもセレウス菌を食中毒として収載することにしています。詳しくは、「食中毒の種類と特徴」を参照してください。


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セレウス菌の特徴

セレウス菌|食中毒大辞典

セレウス菌の細菌学的な特徴は、グラム陽性大桿菌で芽胞を有する通性嫌気性菌であり、土壌や汚水など自然界に多く存在し、酸性域では発育は悪い。普段は芽胞といわれる植物の種子のような形をしていて、増殖に適した栄養や温度の環境が整うと発芽します。セレウス菌は、常在菌として健康な成人の10%で腸管の中に見られ(特に8か月以下の乳児の腸の中でも増殖)、発育は4〜50℃、芽胞は1〜59℃、100℃ 10分の加熱で大部分が不活化するが、芽胞は100 ℃ 30分の加熱にも耐えます。また、70% の皮膚消毒用のエチルアルコールでも不活化されないという報告がああり、速乾性擦式消毒剤に使用されるエタノール系消毒剤に耐性を獲得した菌が残存し十分に滅菌されない特性もあります。セレウス菌は、溶血毒をはじめ、いくつかの毒素を産生することが知られているが、食中毒に関係するのは嘔吐毒と下痢毒である。セレウス菌の嘔吐型は、増殖するときに熱に強く、調理過程ではなかなか死滅しない毒素をつくります。嘔吐毒本体はCereulide と呼ばれる環状ペプチドで、消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定であるため、食品中で産生された毒素で中毒が発現する。一方、下痢毒本体はタンパク質であり、ペプシンやトリプシンなどの酵素や、60 ℃以上の加熱、pH4以下の酸性条件などによって失活することが知られている。したがって、原因食品中に産生された毒素は胃酸や消化酵素により不活化されるので、下痢は起こさないと考えられる。

セレウス菌による食中毒の発生

セレウス菌による食中毒は古くから知られており、1950 年代に下痢を主症状とした下痢型セレウス菌食中毒の発生が報告されている。1970 年代にイギリスで炒飯の喫食による嘔吐を主症状とした嘔吐型セレウス菌食中毒が報告され、その後欧米各国で同様の事例が報告された。わが国におけるセレウス菌食中毒は嘔吐型がほとんどであるが、その発生数や患者数はそれ程多いものではない。1983 年から1999 年までの17 年間に発生した食中毒総数19,937事例のうち、セレウス菌食中毒は201 事例、患者数7,697 名で、いずれも1%程度を占めるにすぎない。他の細菌性食中毒菌と同様に高温多湿の時期に菌が増殖し、セレウス菌による食中毒は発生します。国内での発生は、特に穀類関連の食品が原因で食中毒が発生している様です。また、その発生規模も1事例当たりの患者数が10 名前後の小規模発生がほとんどであるが、時に患者数100 名を超える大規模な事例もみられる。学校や事業所での事例が多く、患者数1,800名を超える事例までみられている。時期的には、他の細菌性食中毒と同様、夏期に多く発生している。

セレウス菌感染の症状

セレウス菌による食中毒の原因食品としては、下痢型の場合には、肉、ミルク、野菜、魚などいろいろな食物が原因となる場合があります。セレウス菌による嘔吐型食中毒の場合には、お米と関係している場合が多く、イモ、メン類、チーズ製品といったデンプンを含む食物が関係している場合もあります。これらのものが混じっているソース、プディング、スープ、メン類、サラダ、鍋焼き料理などが食中毒の原因食材となることもあります。イギリスの刑務所で起こった嘔吐型のセレウス菌食中毒の場合には、ビーフシチューが原因食品でした。前の日に調理した野菜をシチューに入れたのがセレウス原因となったと考えられています。他の食中毒の可能性もある場合は、症状から原因を調べることができます。詳しくは、「食中毒の症状と種類」を参照してください。

嘔吐型食中毒による症状

セレウス菌による嘔吐型の症状は、食後30分から6時間で嘔吐が出現します。ときどき、腹痛や下痢が見られる場合もあります。しかし、発熱の症状が見られません。また、セレウス菌の嘔吐型の症状は、24時間未満に収まるのが通常です。黄色ブドウ球菌による食中毒で見られる嘔吐と似ています。セレウス菌が産生する嘔吐型毒素は加熱してもこわれにくいので、食前の加熱では予防できません。嘔吐型毒素は126度で90分加熱しても安定です。嘔吐型による集団発生の報告は、1971年以来、英国、カナダ、オーストラリア、ネーデルランド、フィンランド、アメリカ合衆国、日本でなされています。

下痢型食中毒による症状

セレウス菌の下痢型の症状は、食後6-15時間で、水のような下痢、腹痛が出現します。吐き気を伴うことがありますが、嘔吐や発熱はまれです。また、症状は24時間は持続します。ウエルッシュ菌による食中毒とよく似ています。下痢型毒素は、45度で30分の加熱には安定ですが、56度で5分の加熱には安定ではありません。下痢型毒素は加熱によってこわれやすいので、食前の十分な加熱が予防に役立ちます。セレウス菌の下痢型の集団発生の報告は、1950年以来、ノルウェイ、デンマーク、イタリア、ネーデルランド、ハンガリー、スウェーデン、ポーランド、ルーマニア、旧ソ連、アメリカ合衆国、ドイツ、カナダでなされています。

セレウス菌 セレウス菌 下痢型 セレウス菌 嘔吐型
菌の増殖する部位 体内 食品中
潜伏期 8~16時間 1~5時間
主な症状 腹痛、下痢
(ウェルシュ菌食中毒に似る。)
吐き気、おう吐、腹痛
(黄色ブドウ球菌食中毒に似る。)
毒素 下痢毒素は、56℃/5分で毒力が無くなる。 おう吐毒は、熱に強く126℃/90分でも安定しているので注意が必要である。
原因食品 弁当、プリン等 焼飯、焼きそば、スパゲッティ等

セレウス菌食中毒の検査

セレウス菌食中毒は、臨床症状、潜伏時間、および関係検体からの原因菌検出頻度などによって診断されているのが現状である。自然環境からよく検出されるセレウス菌と食中毒の原因となるセレウス菌との区別については、後者がでんぷん分解性陰性であることから、でんぷん分解能検査が役立つと思われる。患者の便や原因食品(または食品原材料)などから多数(1gあたりの菌数が百万~1億個)が検出されること、さらにこれらの菌が同一の性状・血清型を示し、エンテロトキシンを産生することにより食中毒として診断されます。また、患者さんの便から直接エンテロトキシンを証明することも有効な診断法です。なお、類似の食中毒を起こすセレウス菌は、好気性菌であることからも区別は容易です。セレウス菌の鞭毛抗 原によるH 血清型別は特異性が高く、セレウス菌の血清型別に応用されるが、市販の試薬はないです。原因食品や患者試料などから検出された菌株間における同一血清型菌の検 出頻度は、食中毒診断にとって重要な判定資料となる。一方、病原本体である毒素の検出では、下痢毒についてはラテックス凝集反応による検出キットが市販さ れているが、嘔吐毒の簡 易な検査方法は開発されていないため、検出菌株や食品中の毒素を検出することは困難である。

セレウス菌食中毒の治療

セレウス菌による食中毒の症状は細菌性食中毒のなかでも軽症であり、特別な治療を行わなくても一両日中に回復します。症状が軽い場合には、病院に行かなくても自然に回復します。詳しくは、「食中毒を病院に行かずに治したい」で確認してください。セレウス菌が感受性がある抗生物質は、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシンです。しかし、抗生物質を使用しなくても対症的に脱水に対する点滴などの治療をしているだけで短期間のうちに軽快するので、抗生物質が使用されることは少ないです。 セレウス菌による食中毒は、通常、人から人へは感染しません。なお、免疫が抑制された人たちでは、セレウス菌は、菌血症、心内膜炎、髄膜炎、肺炎を起こすことがあるので注意が必要です。 セレウス菌は食品における汚染頻度が高く、さらに加熱調理後も生残している場合が多いこと から、予防対策としては、食品中での菌増殖を押さえることが第一である。嘔吐型、下痢型いず れの場合も、食品中で原因菌が増えることが発生要因となる。したがって、調理から喫食までの時間と温度管理が最も重要な予防法です。

セレウス菌食中毒の原因

セレウス菌食中毒は、米や小麦などの農作物を原料とする食品が主な感染源が多く、セレウス菌食中毒の原因食品は焼飯、スパゲッティー、ピラフ、焼きそばなどです。セレウス菌食中毒は、2つのタイプに分類され原因食品もことなります。①.嘔吐型セレウス菌:主に米飯 ②.下痢型セレウス菌:主に食肉製品やスープ 特に米飯やスパゲッティーでは増殖しやすいので、十分な注意が必要です。詳しくは、また、食中毒の原因と種類(一覧)で確認してください。

セレウス菌食中毒の予防

セレウス菌は一般的な食中毒の予防であるセレウス菌を「つけない」、「ふやさない」、「ころす」ことが有効です。 一般的な予防方法について説明しています。詳しくは、「食中毒の予防」で確認してください。

  • 食材は常に新鮮なものを選ぶ。
  • 調理の際は十分に加熱する。
  • 調理した食品は、できるかぎり保存せず、早めに食べる。
  • 冷蔵庫に保存したことで安心しない。
  • 大量につくった焼飯やスパゲッティーなどを、翌日再調理することは避ける。

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