腸炎ビブリオ食中毒の症状は下痢・腹痛で数日で自然回復腸炎ビブリオ食中毒とは

腸炎ビブリオ食中毒の症状と治療方法

腸炎ビブリオは、海水と淡水が混じり合う汽水域を中心に沿岸の海水中に広く棲息する細菌です。腸炎ビブリオによる食中毒は、魚介類に付着した腸炎ビブリオが気温の高い夏場に常温放置され増殖した食材を食べることでおきます。腸炎ビブリオは、3%程度の塩分が増殖に最適な好塩性菌ですが、真水に触れると死滅します。その為、腸炎ビブリオ食中毒を予防する為には、魚介類を真水でよく洗う、十分な加熱することが有効です。ほとんどの腸炎ビブリオはヒトからヒトに感染しませんが、ごく一部の腸炎ビブリオはTDHTRHと呼ばれる病原因子を産生する能力(病原性をもつ菌の指標となる)をもち、ヒトに病気を引き起こします。魚介類の生食を好む日本人の食習慣のためか、日本では腸炎ビブリオ食中毒はサルモネラ菌食中毒と並んでよく発生する食中毒です。他の食中毒菌について詳しい情報を見ることができます。詳しくは、「食中毒の種類と特徴」を参照してください。

特徴

腸炎ビブリオはコレラ菌と同様、ビブリオ科ビブリオ属に属しています。腸炎ビブリオは0.3×2µm程度の大きさで、菌体はコレラ菌に見られるような湾曲を示さず、真っ直ぐな形態の桿菌です。またビブリオ科の細菌は腸内細菌科と同様、通性嫌気性でブドウ糖を発酵するグラム陰性菌で、菌体の一端に一本の鞭毛を持つ点で腸内細菌科とは区別されるが、腸炎ビブリオにはこの極鞭毛の他に、これよりも細くて菌体の周囲全体に生えている周毛性の鞭毛を持つ点でコレラ菌などと異なる。ただしこの周毛性鞭毛は培養条件などによって失われることがわかっています。海水中では、水温が20℃以上のときに活発に増殖するが、15℃以下のときには増殖が抑制されます。低温、高温、真水、酸による処理に弱い特徴もあります。(写真:腸炎ビブリオ/愛知県衛生研究所

腸炎ビブリオの写真

発生時期

腸炎ビブリオによる食中毒の発生時期は、5~6月から次第に増加し7月から9月の夏場に集中します。これは、腸炎ビブリオが一日の最低気温が15℃以上、海水温が20℃以上になると海水中で大量に増殖する性質があるからです。その為、海水温度が高く、海水中に腸炎ビブリオが多い時期に獲れた魚介類には、腸炎ビブリオが付着しており、漁獲後や流通過程、調理中などの不適切な取扱いにより増殖し、食中毒の原因となります。また、近年では、最近では東南アジアなどからの魚介類により、冬場でも腸炎ビブリオによる食中毒がみられます。

腸炎ビブリオ菌食中毒は、日本で発生する食中毒の原因菌としては、発生件数でサルモネラ菌と並んで上位にあたり、特に1992年までは、日本における食中毒原因の第1位を占めていた。しかし、日本以外の国、特に欧米諸国での腸炎ビブリオ菌による食中毒の発生は少ないのが特徴です。これは刺身や寿司など、日本人は海産の魚介類を生食することが多い食文化と大きく関連していると考えられます。日本では特に6月から9月の夏場に腸炎ビブリオ菌食中毒が多く発生します。また、東南アジアなどでも腸炎ビブリオ菌食中毒は発生し、旅行者下痢症と呼ばれる輸入感染症の原因菌の一つであります。腸炎ビブリオ菌は約75種ある血清型のうち「O4K8」が1995年まで主流で、1996年から「O3K6」に変わった。これは米国や東南アジアに多い種類であるため、何かの要因で移入された可能性が推測されている。日本の感染症法において、腸炎ビブリオ菌食中毒は、五類感染症の定点把握疾患である感染性胃腸炎に含まれるため、指定された医療機関では発生後一週間以内に報告することが義務づけられており、これを通して日本国内の発生状況が監視されています。

症状

腸炎ビブリオ菌食中毒は、喫食後10~24時間後に激しい腹痛と下痢がおこります。特に腹痛はさしこむような激痛で、猛烈な苦しさを伴います。また、激しい下痢がなんども続くため、脱水症状をおこすこともあります。発熱はあまりなく、ほとんどは抗生物質の投与などで2~3日で回復します。ただし、水のような便が正常に戻るまでには2週間くらいかかります。他の食中毒の可能性もある場合は、症状から食中毒を調べることができます。詳しくは、「食中毒の症状と種類」を参照してください。

検査

腸炎ビブリオの診断は、夏季に大人が下痢や腹痛を訴え、海産魚介類(とくに生)をおおよそ10~30時間(潜伏期)前に食べていれば腸炎ビブリオ菌食中毒の疑いが濃厚です。検査は、できる限り抗菌薬投与前に排便直後の新鮮便の一部を直接TCBS寒天培地に塗抹し37℃一夜培養します。腸炎ビブリオはTCBS寒天上で白糖非分解性の中心部が濃緑色ないし青緑色の集落を形成します。腸炎ビブリオが疑われる集落はさらに各確認培地に接種し、その性状を調べ同定します。その最小限の性状は(オキシダーゼ・リシン脱炭酸・インドール・ブドウ糖の発酵・マンニットの分解・3および8%NaCl加ブロスでの発育)‐陽性、(ブドウ糖からのガス産生・白糖の分解・0および10%NaCl加ブロスでの発育)‐陰性であります。同定された菌株は、O、K抗原を調べて血清型を決定する。必要に応じて、tdh、trh 遺伝子を調べます。

治療

腸炎ビブリオの治療は、特に抗菌薬治療を行わなくても数日で回復します。その為、腸の動きを抑制する強力な止瀉薬は、菌の体外排除を遅らせるので使用しません。もし、下痢や嘔吐の症状により脱水症状などがある場合には、対症療法として輸液(点滴)を行います。発熱がある場合も解熱剤の服用により脱水を増悪させることがあるので使用する際には十分な注意が必要です。また、解熱剤とニューキノロン薬と併用できないものがあるので慎重に薬を選択すべきである。一般的には、腸内環境を改善させるために乳酸菌などの生菌整腸剤を使用し、腸内ビブリオが腸内での定着を防ぐ。抗菌薬を使用する場 合は、ニューキノロン薬あるいはホスホマイシンを3日間投与する。軽度な症状の場合は、自宅で安静することで回復します。詳しくは、「食中毒を病院に行かずに治したい」で確認してください。

処方薬

対症療法が中心ですが、下痢止め薬は用いないほうが無難です。抗生物質は病期を短縮するといわれていますが、十分な根拠はありません。多くは数日で自然に快方に向かいます。しかし、まれに死亡例の報告もあるので、十分な注意が必要です。

原因

腸炎ビブリオ菌の汚染の出発点は魚介類などの海産物です。夏になると、近海産のアジやサバ、タコやイカ、赤貝などの内臓やエラなどに腸炎ビブリオ菌は付着しています。これらを生食用のさしみにするとき、刺身などの切り身に移って腸炎ビブリオ菌に汚染されます。また、魚介類に付着した腸炎ビブリオ菌が、冷蔵庫の中やまな板などを通じて他の食品を汚染し、2次汚染で腸炎ビブリオ菌食中毒をおこすこともあります。詳しくは、また、食中毒の原因と種類(一覧)で確認してください。

予防

腸炎ビブリオ食中毒の予防は食物の汚染を防ぎ、汚染された食物を摂取しないことがもっとも重要であります。腸炎ビブリオ菌の特徴は、増殖が早い菌であるため、特に夏期には生の魚介類を常温で放置しないことが重要です。また、腸炎ビブリオ菌は低温に弱く真水にも弱い細菌なのです。冷蔵保存したり生魚を真水でよく洗浄することや十分に加熱調理することでも腸炎ビブリオ菌食中毒を感染を予防することが出来きます。一般的な食中毒の予防方法について説明しています。詳しくは、「食中毒の予防」で確認してください。

  • 魚介類はできるだけ加熱して食べる。
  • .調理する直前までは、冷蔵庫などで5℃以下で低温保存する。
  • 調理したさしみはできるだけ早く食べる。
  • 他の食品と接触しないよう、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎない。
  • 調理の際は、魚介類を真水でよく洗う。
  • まな板やふきんは、魚介類専用のものを使う。
  • 使った調理器具は、よく洗い、熱湯などで殺菌する。

腸炎ビブリオ 症状 治療 予防 見出し

食中毒の種類と症状 インデックス

食中毒を引き起こす主な細菌やウイルス

  秋は毒キノコのシーズン誤食に注意

食中毒 よくある質問の説明

e840.net ピックアップページ

当サイトについて

サイト内検索機能 By Yahoo!

Yahoo! JAPAN

  • ウェブ全体を検索
  • e840.net内を検索