サルモネラ菌による食中毒

サルモネラ菌による食中毒の症状・治療・予防方法

サルモネラ菌とは、グラム陰性の腸内細菌科のに属する食中毒菌で、感染すると初期段階で悪心や嘔吐など食中毒の症状が現れ、1日に数回から十数回と繰り返えす下痢が続きますが、症状は3日から4日と比較的短いのが特徴です。小児がサルモネラ菌に感染すると意識障害、痙攣および菌血症などことが報告されており、一方、高齢者が感染すると急性脱水症および菌血症を起こし重症化する場合もあります。サルモネラ菌は、動物の小腸で、腸の細胞から腸間膜リンパ節へと移動し、増殖しながら毒素の1つであるエンテロトキシンを産生します。サルモネラの属名は、1885年にアメリカで基準株であるブタコレラ菌 を発見した細菌学者、ダニエル・サルモンにちなんで名付けられました。ヒトに対する病原性サルモネラ菌として最初に分離されたのはチフス菌です。チフス菌は1880年にカール・エーベルトにより命名され、1884年にゲオルク・ガフキーがその純培養に成功しました。細かいものまで含めるとサルモネラは2、000以上の種類がありますが腸チフスあるいはパラチフスと呼ばれる消化器系の不調を引き起こす「チフス性サルモネラ菌」および「食中毒性サルモネラ菌」に分類できます。

サルモネラ菌の細菌学的な特徴

サルモネラ菌は、ブドウ糖を嫌気的に発酵し、芽胞を持たない、通性嫌気性のグラム陰性桿菌に属する細菌であり、大きさは0.5 × 2 µmぐらいの棒状で周毛性鞭毛を持ち運動性があります。また、乳糖を分解せず、ほとんどのサルモネラ菌株は硫化水素を産生し、リジンを脱炭酸し、クエン酸を炭素源として利用しています。サルモネラ菌は、熱や酸には弱いが、乾燥や低温には強く、冷凍しても不活化せず冷凍食品から検出され食中毒が発生することもあります。サルモネラ菌は、マラカイトグリーン、胆汁酸、亜セレン酸に抵抗性があるため、これらの物質を加えた択培地を用いることでサルモネラ菌の感染を特定することができます。

食中毒は夏場に集中して発生

夏場の代表的な食中毒菌の1つとしてサルモネラ菌は古くから注目されてきました。しかし、最近では、ノロウイルスカンピロバクターが猛威をふるい逆にサルモネラ菌による食中毒は、平成16年頃から減少傾向です。また、衛生に対する意識向上、食品の保存温度の徹底、冷蔵・冷凍技術の進歩により多くの細菌による食中毒が減少傾向になっています。サルモネラ菌は、主に肉類など動物性食品に汚染されていることが多いです。その為、肉汁が野菜などへ接触し、常温で放置されることでサルモネラ菌が増殖し食中毒の原因になることも少なくありません。また、肉などの生食や加熱不十分によりサルモネラ菌による食中毒は起きています。

症状は、悪心、吐き気、腹痛など

潜伏期間は12から48時間程度で、サルモネラ菌による食中毒の症状が現れます。まず、悪心や吐き気を感じ、徐々に水溶性の下痢、発熱、嘔吐の症状が現れ、数日(3から4日程度)続きますが自然に回復することが多いです。サルモネラ菌の感染の特徴の1つとしては、下痢や嘔吐の症状が治まっても便から菌が検出されることです。腸内で増殖したサルモネラ菌が全て排出されるまでには、症状が治まってから10日から2週間程度といわれていますが、体質や体調によっては1ヶ月以上サルモネラ菌が検出される方もいます。その為、サルモネラ菌による食中毒になり症状が治ったからと言ってスグ調理などの家事や業務はしない様にしましょう。症状が治まった後もしばらくの間は、便からサルモネラ菌が検出されますが、トイレで肛門を綺麗にする際に誤って自分の手指に付着することも少なくありません。その為、トイレでは誤って自分の手指にサルモネラ菌を含む便が付着しない様に注意しなければいけません。そしてトイレが済んだらシッカリ手洗いを行い手指を清潔にする様にしましょう。サルモネラを保菌しているヒトが調理することで厨房や食材を汚染し食中毒の発生リスクが高くなりますので注意が必要です。

サルモネラ菌の潜伏期間は5日程度

下痢や嘔吐の症状がある食中毒の原因物質は、サルモネラ菌以外にも色々な種類があります。食中毒は、原因物質によって、症状、発症期間、原因物質が異なります。その為、食中毒の症状や考えられる原因食材、潜伏期間などから原因物質を推測することで原因を絞り込むことができます。例えば、サルモネラ菌による食中毒の場合は、初期の症状に、悪心、吐き気の症状があり、その後に下痢や嘔吐の症状が現れます。原因となる食材は、肉の生食や過熱不十分が多い。サルモネラ菌による食中毒は、疑わしい食事をした約5時間後に該当した症状が現れます。これらの症状や特徴は、一般的なものであり、体質、体調、環境などで全てが該当しなくてもサルモネラ菌による食中毒の場合もあります。万能な見極め方ではないですが、食中毒の原因を絞り込む事で、その後の治療などの目途も立てやすくなるかと思います。さらにサルモネラ菌による感染を確定する場合には、患者さんの便を綿棒によって採取されます。そして、検査室に送られ、そこで細菌を増殖させ(培養)菌を同定することによって診断が確定します。

食中毒の症状は3日から4日で自然に回復

サルモネラ菌のみならず、多くの食中毒の原因物質で下痢や嘔吐など胃腸炎症状が現れます。その為、食中毒になった場合には、激しく、しつこい下痢や嘔吐による脱水の緩和と胃腸炎症状の緩和が主な治療方針になります。サルモネラ菌による食中毒でも対症療法を中心におこないます。しかし、症状が辛いからと言って、強い作用のある吐き気止め、下痢止め薬を処方することは少ないです。薬によりサルモネラ菌など食中毒を引き起こしている原因菌の排出を遅らせたり、麻痺性イレウスを引き起こす危険があります。また、サルモネラ菌による食中毒の場合は、発熱の症状もあり解熱剤の利用も考えたいですが、ニューキノロン薬と併用禁忌のものがある上、脱水を悪化させる可能性がありますので注意には必要です。サルモネラ菌は、試験管内では多くの抗菌薬に感受性があり有効性が認められているものは、アンピシリン(ABPC)、ホスホマイシン(FOM)、およびニューキノロン薬があります。わが国の非チフス性サルモネラ菌の薬剤耐性率はABPCに20~30%、FOMに対し10%未満であり、ニューキノロン薬耐性はほとんどみられません。また、サルモネラ菌による食中毒の症状を治療するため抗菌薬の投与は、腸内細菌叢が撹乱され原因菌の除菌が遅れるうえ、耐性菌の誘発やサルモネラ菌に対する易感染性を高めるなどの理由で安易に使用しない考えが一般的です。わが国でもサルモネラ菌による食中毒の処方薬では、ニューキノロン薬の7日間投与は腸内細菌叢に対する影響もなく、除菌率も高いという成績に基づき、使用されている。ニューキノロン薬(下記のいずれか1剤)を与えます。サルモネラ菌による食中毒の場合は、症状が軽度なことが多く、自宅で安静することで回復します。詳しくは、「食中毒を病院に行かずに治したい」で確認してください。

サルモネラ菌による食中毒予防のポイント

食中毒の予防の基本は、食中毒菌の特徴を知ることが非常に重要です。例えば、サルモネラ菌の場合、細菌性の食中毒菌であり高温・多湿の環境を好み常温放置する事で増殖します。また、サルモネラ菌は、肉など動物性食品を汚染しやすく生肉の取り扱いには十分に注意する必要があります。これらの特性を理解すれば、サルモネラ食中毒の予防は非常に簡単です。食中毒を予防するには3つの原則があります。「つけない」「ふやさない」「ころす」です。別な言い方をするなら「汚染食材と非汚染食材をしっかり区別させる」「常温放置せず冷蔵庫で保存」「しっかり加熱調理」です。これは、サルモネラ菌以外の食中毒菌でも有効な方法です。近年、サルモネラ・エンテリティディスに汚染された鶏卵による食中毒が増加しており、生たまご入りとろろ汁、オムレツ、玉子焼き、自家製マヨネーズなど、汚染された鶏卵を使用した食品が原因となっています。また、ペットからとのキスによりサルモネラ菌に感染をし食中毒になる事もあります。詳しくは、また、食中毒の原因と種類(一覧)で確認してください。

  • 生肉調理時の器具、手指から他の食品等への汚染(二次汚染)の防止
  • 調理後の十分な洗浄・消毒。
  • 卵や生肉は10℃以下に低温保存する。
  • 食肉や生レバーの生食は厳禁で75℃1分間以上の加熱調理する。
  • 生卵は食べないほうがよい。(特に夏場)
  • ペット類を世話した後の手洗い厳守。
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サルモネラ菌による食中毒の特徴

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